のん主演作の「Tempura(てんぷら)」がフランスでヒット

面白いニュースがあった。「日本食ブームのフランス、のん主演作の仏題「Tempura(てんぷら)」でヒット」。のん主演で「天ぷら」なんて映画あったっけ? 日本未公開なのかな。

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7月20日から、のん主演、大九明子監督の「Tempura(てんぷら)」という作品がフランスで公開され、1週目に1万5000人の動員を集めた。

   

そんな作品あったっけ、と思ったら、これがなんと綿谷りさ原作の「私をくいとめて」のことだった。

それかい!

たしかに主人公が天ぷらを作るシーンはあったが、天ぷら職人になる話でもなく、特別に天ぷらに思い入れがあるわけでもない。ほとんど詐欺のようなタイトルだ。でも、この映画を見てフランスの若い女性がどう思ったかはすごく興味がある。恋がしたい、恋人が欲しいと思いながらも、実際に恋人候補ができると楽しくない、逆につらい。いままで自分の思い通りに生きてきたのに、相手がなにを考えているかをいつも気にしながら相手に合わせなければ思うのが面倒くさい。ホテルに入るがいたたまれなくなって「氷を取ってくる」と廊下に出るが、床にしゃがみ込んで「苦しいよお~」と叫ぶ。あのシーンってフランス女性はどう見たのだろう。「わかる、わかる」か、あるいは「へえ、日本人って窮屈だね」だろうか。

大九監督の傑出したユーモアと同時に、表には出ない心理を掬い取る的確な演出は、万華鏡のように豊かでニュアンスに満ちたのんの演技を得て、日本社会で生きる女性たちの息苦しさを海外の観客にも伝えているようだ。
「硬直した、あるいは孤独や男女の乗り越え難い溝に満ちた社会に対して問いをもたらす」(週刊誌L’Obs)
「控えめだが断固としたフェミニズムの証。そしらぬ顔で、日本の男性優位社会の伝統に揺さぶりをかける」(週刊誌テレラマ)
といった評が見られる。

とりあえず作品のテーマは伝わったみたいだね。あいかわらず日本のテレビからはお呼びがかからないのんちゃんだが、映画にはコンスタントに出演し、これでフランスデビューも果たした。のんちゃんなら、中国人とも韓国人とも違う顔、日本代表ってことで異議なし。