できないことができないのは職務放棄ではない

あいかわらずの日刊ゲンダイ。この記事を読んで日刊ゲンダイって週刊現代とは違って講談社ではないのか? アサヒ芸能と朝日新聞みたいなものか?*1と思ってサイトのいちばん下にある会社概要を見たらやっぱり講談社だったよ。

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尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題

耳を疑った視聴者もいたのではないか──。24日のNHK日曜討論で尾身氏は「従来までは国、自治体が国民にお願いし、国民が従うというフェーズだった。今は、いろんなことを学んできたので一般市民が主体的に自分で判断していろいろと工夫するフェーズに入った」と強調した。
「一般市民が自分で判断」とは聞こえがいいが、要するに「自助で何とかしろ」ということだ。コロナ禍の2年半、コロナ対策は的外れなものが多く、後手対応も目立った。政府に従った国民は多大な犠牲を強いられた。その張本人である政府分科会の責任者が、今度は「一般市民が主体的に」とは、視聴者が呆気に取られても不思議はない。

さらに、驚きの発言は続く。「このまま放っておくと、体力が悪い、体の脆弱な高齢者の死亡者数は第6波を超える可能性がある」と危機感を示した。第6波では高齢者を中心に1万2000人超の死者を出した。第7波では、それを超える犠牲者数になる可能性があると明言したのだ。
なのに、肝心の「感染対策」については、こう続けた。「重症者数、感染者数、一般医療の制限をどこまで我々が許容するか、国民的なコンセンサスが必要だ」

どこが仰天発言なのだろう? 私から見るとこの人から聞いた初めてのまともな発言に思えるが。1年前にこう言ってくれてたらオリンピックを有観客で開催できたのに。記者も自分で「コロナ対策は的外れなものが多く」と書いているではないか。ワクチンと病床の確保、つまり感染した人が重症化しないように、重症化した人が死なないようにする以外に政府ができることなどないのだ。その前段である感染対策、つまり感染しないようにすることで政府ができることはなにもない。人流の抑制は効果がないのがわかっていながら緊急事態宣言やまん延防止措置を出した第6波までに比べたら大きな進歩だが、それって1年前からわかっていたよね。尾身会長に限らず、専門家、政府、マスコミの問題は訂正をしないことだと思う。べつにお詫びをしろとはいわない。謝らなくていいので、訂正をしようよ。それをしれっと上書きをしようとするから混乱を招く。じゃあ、日刊ゲンダイは感染対策についてどう考えるのだ。それを書け。無理だよな。記事の最後に専門家の意見が載っている。

「世論に委ねるかのような尾身氏の発言は、もはや科学ではありません。たとえ、一定の犠牲に対し、国民が許容していたとしても、それを“よし”とはせず、科学的に最善の感染対策を考えるのが専門家の仕事です。これまでの6度の波に対して政府分科会は有効な対策を打ち出せませんでした。過去をはるかに上回る第7波がやって来て、職務放棄したようにしか見えません。尾身氏は会長職を退くべきだと思います」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学)

じゃあ、有効な感染対策ってなんだが感染症学の専門家なら教えてよ。「無症状者や軽症者が9割を超える感染症は防ぐ手段がありません。感染しやすい人が全員かかるまで感染は収まりません。感染そのものについて政府ができることはなにもありません。なのでワクチンを打って、換気に注意して、それでも具合が悪くなったら葛根湯を飲んで寝ましょう」と、できないことはできないと言うのも立派に職務を果たすことだと思う。

*1:こちらは朝日新聞よりアサヒ芸能のが良心がある