冬のビデオまつり「SISU/シス 不死身の男」「ブラック アンド ブルー」

今日の関東地方、天気は良いが遠くの空が黄砂で黄色くなって、さらに風が吹き荒れている。

女囚霊

女囚霊
【1,200円】80分のB級映画だが、原作はコミックらしくてストーリーの骨格は悪くない。ただカードの見せ方が早すぎて、とくに後半になるとこちらが咀嚼する前にどんどん種明かしがされてすごくもったいない。これを120分の映画か、全3話くらいのドラマにして登場人物の背景や行動原理をしっかり描き、怖いシーンの「ため」を作れば良作になったはず。

SISU/シス 不死身の男

SISU/シス 不死身の男

  • ヨルマ・トンミラ
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SISU/シス 不死身の男
【1,900円】ナーメテーター物。フィンランドの映画で時代は第二次世界大戦末期。ナチスの小隊によって村が焼き払われ、連れ去られる若い数人の女性を残して皆殺し。それと金鉱掘りに出かけていた主人公は難を逃れるが、彼は一人でロシア兵数百人を殺したとんでもない男だった...タイトルの「シス」はフィンランド語で、和訳するなら「不屈の闘志」とでもなるか。ナチスの兵隊に聞かれて拉致された女性が答える。「強いんじゃない、あきらめないだけ」、「不死身じゃない、死のうとしないだけ」。隊長は主人公が持っている金塊が欲しい。だが主人公について本部に無線で問い合わせると「すぐに逃げろ」と。それにしても縛り首になっても死ななかったのは誰か解説を頼む。

シルバー假面 3

シルバー假面 3

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シルバー假面
【1,200円】あの「シルバー仮面」を実相寺昭雄監督、佐々木守脚本でリメイクしたもの。ただ、時は大正時代、敵はカリガリ博士が作る怪人、主人公は日独ハーフの女性でテレビで見たシルバー仮面とはまったく違う。お二人とも完成を待たずにお亡くなりになり本作が遺作になった。主人公の父親は森鴎外狂言回しは平井二郎、のちの江戸川乱歩。だが特撮や格闘シーンはショボいので、あくまでもレトロな雰囲気を味わう作品だ。

ブラック アンド ブルー
【1,900円】なんだこれ、傑作なんだけど。開始20分過ぎから最後まで息つく暇も無し。汚職刑事が売人を殺す現場を目撃したためにボディーカメラを奪おうと命を狙われる。警察や売人が所属する組織には、刑事から主人公が殺したと偽の情報が流され、警察と麻薬組織の両方から追われることになる。助かるにはボディカメラの映像を署内の上層部に直接届けて身の潔白を証明し、汚職刑事を告発するしかない。タイトルのブラックは黒人、ブルーは警官の制服。主人公は黒人であること、女性であることから警察署内では差別され、街の黒人たちからは警官であること、即ち白人の仲間になったと嫌われる。逃亡する彼女だが味方はどこにもいない...終盤、まさにトラの森とワニの池ではどちらが生き残る可能性が高いか、その決断力が素晴らしい。物語の畳み方もうまかった。