春の映画まつり「砕け散るところを見せてあげる」「ドリームランド」

で、昨日は新宿に何をしにいったかというとこれを観に行ったんだよ。

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タイトルからして無鉄砲の女の子が無茶なことをして、気の弱い男の子がそれにいやいや付き合わされてひどい目に遭う話しかと思ったら全然ちがった。ポスターは有名な俳優10人の顔写真だが、主役は上段の2人。その友だちが2段目。男の子の母親が下から2段目の矢田亜希子、女の子の父親が最下段の堤真一。あとはちょっとしか出ないから北村匠海原田知世目当てで行ってもプロローグとエピローグしか出ないよ。このプロローグと本編の関係がエピローグまでわからないのがミソ。この映画、面白かったわあ。「ファースト・ラブ」に北川景子芳根京子が出なかったら、こっちのが面白い。「まともじゃないのは君も一緒」に泉里香が出なかったら、こっちのが面白い。だが配給がイオンシネマなんで上映館が少ないのがもったいない。クラスでひどいイジメに遭っている1年生の石井杏奈を、3年生の中川大志が助ける。そこから二人の仲が接近するラブコメディだと思ったら中盤から物語がツイストし始め終盤はぶっ飛んだ展開になる。こんな家庭はねえだろと思う間もなくクライマックスに突入するスピード感が見事。石井杏奈ってJTのCMで北村匠海と暮らしている人ね。彼女、素では68点くらいのルックスなのだが、逆に表情によって可愛く見える余白になっていてすごくいい*1

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もう一本を「バイプレイヤーズ」なら近所の映画館で良かったのだがこれを観たかったので新宿までいったのよ。主役はハーレイ・クインの人。この人がこの映画の脚本を見てぜひ制作と公開まで持って行きたいとみずからプロデューサーになった映画。いまから100年くらい前のアメリカ。「ドリーム・ランド」だと聞いてテキサスに入植した人たちはそこが不毛の地だったので困難を極める。ここを抜け出してメキシコに行くことを夢見る少年(青年にしか見えないのがミスキャスト)が家の納屋で発見したのが大怪我をした女性。彼女は銀行強盗で指名手配になっている。警察に突き出せば賞金がもらえるが田舎にはいない彼女の魅力で、手当をしたり食べ物を持ってきて彼女をかくまう。メキシコに逃亡したいという彼女と意見が一致して怪我が治った彼女と一緒に逃避行に出る...二人のロードムービーかと思ったらすぐに捕まっちゃったよ。資金が足りなかったのだろうか。でもこの映画なんか時代を明治時代や江戸時代にすれば日本でも作れるんだよね。日本映画に決定的に足りないのが脚本の手前の基本プロットというかアイデアというかそれが貧困だと思う。それが無いからついついコミックに頼っちゃうのだが、いまのコミックってやたら長いでしょ。手塚治虫の不朽の名作「きりひと賛歌」なんか、あんなダイナミックな話でも4巻だよ。で、その長い話を見せ場を作りながら2時間にまとめられるライターがいない。この状況って私が生きている間に変わりそうにないのが残念だ。

*1:自分でも何を言ってるのかよくわからない