かみさまとのやくそく

観に行こうとは思わないのだが気になる映画があった*1

  胎内記憶を持つ子どもたちに生まれてきた理由について尋ねると、「人の役に立つため」と全員が答えるといいます

「胎内記憶を持つ子ども」というのは昔、特命リサーチ200Xでやってた。母親の胎内にいたときの記憶を持っている子どものこと。「こんな音が聞こえていた」とか「(初めてあった人に対して)あのおじさんの声をお腹の中で聞いたことがある」とか「こういう怖いことがあった」など子どもの記憶が母親の体験と一致する。この番組によると、人間の脳は胎内の記憶を持つことは可能。ふつうの人に胎内の記憶がないのは理由がある。出産のときに胎児を外に押し出すために子宮を収縮させるホルモンが出る。そのホルモンが胎児の記憶を破壊する働きがあるそうだ。胎内記憶を持つ子どもはみんな難産だった。つまりこのホルモンの分泌が少ないので押し出されない。
ただ、この映画で語られている「生まれてきた理由について尋ねると『人の役に立つため』と全員が答える」は初耳だった。映画のタイトルは、まるで人の役に立つことを神様と約束してから生まれてくるみたいだということだろう。本当にそうなら「人の役に立つ」は人間の本能と言える。だがこれはあまりにも教条的すぎる。できすぎている。この現象を私なりに推理してみた。生物は「個の保存」の本能と「種の保存」の本能を持っている。後者の種の保存は、ネズミだったら「早く大人になって配偶者を見つけて生めよ増やせよ」となるのだろう。だが人間は二足歩行の代償としてほかの動物に比べて1年の早産になっている。だから育てるのにやたら手間がかかる。また子孫を増やせるようになるまでの年月が長い。またこれはDNAに刷り込まれているかはわからないが、ほかの生物に比べて格段に資源が必要だ。よって、やたらに子どもを作るのは種の保存のために得策でない。むしろ少なく産んで、一人一人を長生きさせたほうが(ここで言う長生きは70才、80才ではなく、子どもを産んで育てられるようになる程度にだが)種の繁栄には役に立つ。
そのためには人間同士が協力すること、困っている人間を見つけたら助けることが、種の保存の本能として人間はもともと持っている。このイメージを子どもが言葉で表わしたのが「人の役に立つ」ではないかと思う。ふつうの子どもはこの本能を意識する前にいろいろな情報が入ってきてしまうので、この崇高なイメージが消えてしまう。だが、音や振動以外の情報が入ってこない胎内で、胎児は自分の胸の内に宿るイメージと何ヶ月も向き合いながら過ごす。人間なら誰でもだ。なんかすごい話ではないか。人は誰でもヒーロー、ヒロインとして生まれてくるのだ。興味がある人は本も出ているようなので研究してみてくれたまえ