真冬のビデオまつり

1本目は時間が合わずに見に行けなかった作品。
     
ちょっと前まで有料だったのが、いつのまにか無料になってたよ。これが無料で見られるなんて...Amazonえらい! 原作も読んだが現代の小学校や子どもを取り巻く世界を描いた5本の連作短編集。映画はそのうち3本が並行して進んでいく。学級崩壊寸前のクラスの若い担任の先生と、そのクラスにいるどう見ても虐待されている男の子。自閉症の子どもと、その子がいつも挨拶をするひとり暮らしのお婆さん。いけないと思っても子どもを激しく叩いてしまう母親。どの話にも共通しているのは、誰かがちょっとだけ気にしてあげて声をかけてあげるだけで救われることがあるということ。そのきっかけをすべて忘れていたのですごく楽しめた。オレの乏しい記憶力、えらい!


     
両親を亡くして駅の屋根裏で時計のメンテナンスをして暮らす少年。てっきりその子が異世界に導かれ魔物をやっつけて世界を救う話かと思ったらぜんぜん違った。けっこう地味な話だったが映画館に行ったお子さまは楽しめたのか。とりあえず戦前のパリの風景を再現した映像は素晴らしかった。


     
主演が柴咲コウ、共演が堤真一。CMもよくやってたし続編も作られてテレビドラマにもなって小松彩夏が出たよね。初めて見たけど...これはひどい。「クロユリ団地」、「貞子3D 2」、「劇場霊」につぐ私の生涯ワースト映画の4位が見つかった。話の大筋は名作「リング」、それに古今東西のホラー映画のよくある脅しの仕掛けをちりばめてある。それ自体は悪いとは言わん。これだけ作品が作られているのだから新しいアイデアなんてそうそうは無いさ。だがこの映画はテンポが悪い。脚本家と演出家に、この場面をつなぎ合わせたときそれを見る観客がどういう気持ちで見るかを想像する力が無いのだと思う。あとはカメラワークがひどい。土曜ワイド劇場かよ。映画らしい広がりとか奥行きがない。なんだろう、この感じ。「ホラー映画なんて5分に1回、観客を驚かせれば成立しちゃうのよ、ふんふん」という客をなめくさった、金にしか興味のない人間の腐臭を感じる。まさかとは思うがエンドクレジット...「企画・脚本 秋元康」。やっぱりおまえか! ワースト4の中に3作が入っちゃうのって逆にすごいよ。


     
原作の存在は知ってたよ。読んだことはないが本屋でよく見かけた。「着信アリ」で荒んだ心を一刻も早くリハビリしなければならないと適当に選んで見てみた...まいった。名作じゃないか。学校に行けなくなってしまい、イギリス人のお婆さんの家でしばらく暮らすことになった主人公の女の子...あらすじを書くのが面倒くさいので興味がある人はいろんなところに出ているので見てくれ。これは原作を読んだ人が見ても満足するのではないかな。場所は日本の田舎なのだが、お婆さんが育てた野草がきれい。またカメラと音楽が実にいい。お婆さんが娘と話している動きのないシーンでも、カメラが回りの風景をフレームに入れながらゆっくり回り込んだり、上下に移動する。やっぱり映画はこうでなくっちゃ。あとお婆さんにとっては外国語である日本語、その日本語がすごくきれい。また、お婆さんの孫への接し方がすごくいい。子ども扱いしないで小さな大人として接する。それでいてどんなことでもほめる。「力がありますね」、「(ジャムを煮ている鍋の)かき混ぜ方が上手ですね」とか。あとお手伝いをした孫に「お手伝いができてえらいね」ではなくて「手伝ってくれてとても助かりました」、賞賛ではなくて感謝を伝える。これも大事。孫もお婆ちゃんが大好きなのに、ラストはちょっとしたわだかまりでさよならも言わずに別れてしまう。つぎに会うのは2年後のお婆さんが亡くなった日...そうなんだよ、子どもってそういうところがあるんだよ。でも温室には...あとは見てくれ。お勧めだ