作家とテレビ局の間の深い溝

セクシー田中さん(6) (フラワーコミックスα)

日本テレビから見解が発表されて、いろいろなニュースで取り上げられている。それを読んでも、いや読んだからこそますます私の見解は変わらない。

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いちばんの問題は出版社。だがそれを指摘する意見はほとんど無い。同業者は悪く言わないということか。毎日新聞の記事に気になる点があった。

mainichi.jp

最後の部分、元毎日放送プロデューサーの影山貴彦・同志社女子大教授(メディアエンターテインメント論)のコメントで

「今回の問題を受けて、ドラマ化での原作至上主義や制作現場の萎縮につながるようなことは避けるべきであり、そのための制度作りをする必要がある」と現在の作り手たちを思いやった

つまり「ドラマ化での原作至上主義は避けるべきである」と。この「原作至上主義」とは何を指すのかはよくわからないが、原作に忠実にドラマを作ってはいかんということか。原作とはあくまでもイデアをつまみ食いするものであり、テレビドラマとしてのオリジナリティを大切にせよとこの教授は言っているのか? なんという傲慢さであろうかと私は思うのだが、これがテレビ界の常識ということか。それなら「それでも原作本の売り上げが増えるならうれしい」と割り切っている作家の作品だけがテレビの原作になるのか。私はべつに原作を一言一句忠実に再現せよとは言ってない。わざわざ改変をして原作よりつまらない脚本を作るなと言っている。それを含めて原作者に敬意を払えとも。アイスクリームも乳脂肪分によって、アイスクリーム>アイスミルク>ラクトアイス>氷菓食品表示が変わってくるだろう。「原作」という表現も作家が脚本なりシリーズ構成をチェックして認定をするようにしたらどうだろう。

 原作・・・原作に忠実、または作家が良質であると認めた改変

 原案・・・原作からの乖離は大きいが作家が許容できる範囲である

 翻案・・・「原作」や「原案」とは呼んで欲しくないほど作家の主張と離れている

 模倣・・・作者としてはとうてい認められないが制作は黙認する

翻案「セクシー田中さん」とか模倣「セクシー田中さん」ね。大企業のテレビ局に、個人営業の作家が立ち向かうにはこれしかないし、このくらいの緊張感は必要だと思う。