春のビデオまつり「デリバリーお姉さんNEO」「コカイン・ベア」

かなり自慢ができるマイナーさ。

   

デリバリーお姉さんNEO
【1,900円】Amazonプライムに入っているが連続ドラマを引用できないため画像を貼り付けた。1話23分の全10話でテレビ神奈川GYAOで放送されたそうだ。なんでも屋の2人が依頼先で体験するユルいドタバタコメディー。その道では有名な劇団が脚本と演出を担当し、主役の2人以外はほぼ劇団員らしい。日テレの「原作者は脚本に口を出すな」という姿勢、それならこのドラマのように秀逸なオリジナル脚本を作って見せろ。全10話、駄作なし、中だるみなし。第5話では全編ワンカットに挑戦したり、半分以上が人形劇という回もあった。各話でテイストやテーマが異なり、似た話がない。それでいて見終わると甘くほろ苦い感傷が残る。せめてテレ東ならもっと人目に触れただろうにな。

デリバリーお姉さん
【1,200円】しまった、見る順番が逆だった。こちらは劇場版だが、先に劇場版が作られたみたい。主役の2人は同じだがスタッフは別。こっちから見ればもっと満足度は高かったと思う。

コカイン・ベア
【1,700円】麻薬の売人が罪を逃れるためにセスナ機から山中に大量の麻薬のパックを落とす。それを食べたクマが人間を襲う話。チープな設定の低予算B級映画なのだが、それぞれ別の目的で山にいた人たちがクマから逃れて全滅したり合流したり。チープなりに見せ場がつぎつぎと来て最後まで飽きさせない。たまに遭遇する「一流の二流映画」。これと同じものを日本でも作れたはずだぞ。

雨に叫べば
【1,200円】しまった、R15版とR18版があったのか。珍しい「強くない松本まりか」。1980年代、まだセクハラやパワハラという言葉がなかったころ、新人女性監督が初作品を作っている。だがスタッフは映画の古き良き時代にしがみついている古参ばかり。主人公のこだわりが理解されず撮影は混迷を極める...主人公はまわりに理解されない天才なのか、こだわりだけが強いただのダメな奴なのかがよくわからない。そこが曖昧なので最後のカタルシスがいまいち弱いんだよなあ。

デッドゾーン -殲滅領域
【1,200円】Amazonプライムでは配信されてないのか。人間をゾンビ化させる謎のウイルスが蔓延し滅亡寸前。放射線爆弾(生物だけ死亡させる爆弾。中性子爆弾?)でゾンビを一掃するが、ある地域のゾンビだけは生き残る。その地域にある研究所はゾンビウイルス用のワクチンの開発に成功していたことが判明する。ゾンビだらけのデッドゾーンに入り、研究所からワクチンを持ってくるためチームが結成される...全員フルフェイスのヘルメットなので誰が誰だかわからない。そのためアイアンマンみたいにセリフがあるときはヘルメットの内側の顔が映る。最後まで見られるが全体的にショボいんだよなあ。

札束と温泉
【1,700円】修学旅行先の温泉旅館で起こる一夜のドタバタ喜劇。登場人物は全員が女子高生役。男性は旅館の番頭と先生。この先生がなんと弱気くん。ただ殴られて気絶して、気がつくとまた殴られて気絶、ほとんど寝ている。女子高生役はみんなグラビアアイドルなのかな。この映画、公式サイトがもう消えているので実際はどうだかわからないがワンカットの体裁で作られている。それを生かすために登場人物が部屋を移動するシーンがやたら多く、それをカメラが追っていき、部屋で会った別の人物にカメラが切り替わる。主人公以外、全員がクズなので状況がどんどんカオスになっていくのが見所。74分と短い映画だが楽しめた。

カタコンベ
【1,500円】パリに住む姉を訪ねていく米国在住の妹。パリの地下にある巨大な共同墓地(カタコンベ)で秘密裏に開催されるパーティーに姉の友人らと参加する。自由奔放な姉のノリについていけない主人公、乱痴気騒ぎに耐えられずその場を離れるが迷路のような地下墓地で迷子になってしまう。さっき姉の友人から聞かされた都市伝説、この地下墓地には怪人が住んでいて犠牲者が後を絶たない、その怪人が現れて襲ってくる。ここが開始30分。あと1時間ずっと追いかけっこをするのかと思ったら、この映画は「SAW」のスタッフ、ここからが凝っている。ラストのサプライズ、そして意表を突く終わり方。うん、私でもそうする。

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今回、1,700円以上を付けた3作品、「デリバリーお姉さんNEO」、「コカイン・ベア」、「札束と温泉」。ドラマや映画は脚本だなあとつくづく思う。洋画の「コカイン・ベア」はわからないが、国産の「デリバリーお姉さんNEO」と「札束と温泉」は有名なタレントが出てないんだよね。先にタレントが決まる。このタレントに変なことはさせられない、見せ場を作らなければならない、忙しいタレントなので撮影時間が限られている、この制約でドラマや映画がどんどんつまらなくなっていく。たぶん、「わかっちゃいるけどやめられない」なんだろうなあ。