秋のビデオまつり「9人の翻訳家」「贖罪」

 たった3本のように見えるだろ。下の2本はWOWOWの連続ドラマ、全5話と6話なので合計11話、計8時間半なのだ。

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)

  • 発売日: 2020/07/03
  • メディア: Prime Video
 

 【1,800円】謎のベストセラー作家の三部作の三巻目。翻訳を9か国語で行なうため9人の翻訳家が集められる。発売まで内容を秘密にするため大富豪が作った地下シェルターに監禁され、20ページずつ原作を渡される。それが終わったらつぎの20ページ。ところが「原稿を手に入れた、公開して欲しくなければ身代金を払え」と原作の一部とともに脅迫が届く。携帯も取り上げられて外部との通信手段もなく見張りがいるのに、誰がいったいどうやって...非常に凝ったミステリーながら最後まで退屈させない展開が見事。複雑なミステリーは最後の説明がうっかりすると退屈になる。かといって映像向きにしすぎるとミステリーとして浅くなる。原作がよくできているのだが映画としてのまとめかたが上手。ただ主人公がいけ好かないので100円引き。

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【1,600円】連続ドラマは引用がうまくできない。はてなからAmazonの検索をするとドラマのイメージ映像が出せないで

第1話「フランス人形」

第1話「フランス人形」

  • メディア: Prime Video
 

 各話のリンクになっちゃうのよ。そりゃそうか。小学生の仲良し5人組の一人が殺される。そのとき一緒にいた4人の子どもは犯人の顔が思い出せない。捜査に進展がないことに腹を立てた母親の小泉今日子は怒りを4人の子どもにぶつける。犯人の顔を覚えてないあなたたちを絶対に許さない、一生かかって贖罪をしなさいと。それが彼女たちの人生を狂わせ、大人になった蒼井優小池栄子安藤サクラは破滅をする。それを知っているのに罪の自覚がない母親が気持ち悪い。しかたないよ、原作が湊かなえ、監督が黒沢清だもん。4人目の池脇千鶴だけは母親の理不尽さに気づき呪縛から逃れる。ただまっとうな人生ではないけど。最終話の5話で明らかになる意外な真相。4つの話が独立したイヤミスになっていて、最終話も見応えがありなかなかの佳作。WOWOWすげえ。だが真相が明らかになるとますます4人がかわいそう、完全に小泉今日子の被害者じゃないか。なので300円マイナス。

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【1,200円】誉田哲也原作のミステリー。1話から4話まで起こるいっけん無関係な殺人、そこには一人の少女の影がある。 そして5話で物語の発端となる7年前に戻り、6話で時間が戻って4話の先の物語。後半での視聴者のダマし方は見事。全体として面白かったが不満が2つある。原作では明らかになっているのかもしれないが、細かい謎や動機をぜんぶすっとばして話が終わるので欲求不満がたまる。もう一つの不満が主役のミスキャスト。この人は自分の目的を果たすためにまったく関係のない探偵を死に至らしめているが、それの悔恨や懺悔がない。そのためには主人公に感情移入をして「このくらいはしかたないよね」と思えないといけないのだが、主役が夏帆。良い人の役をやってもなぜか張り倒したくなる女優さんなので*1、主人公にまったく共感ができず、ラストの出来事くらいではつりあいがとれない。なので700円マイナス。*2

*1:それはおまえだけだろ

*2:でかいな