検証・これが実写版の台本だ!−act35(その3)

act40以降でアルテミスの口から語られる「愛野美奈子である時間」は、実はact35で出てきていた。美奈子のかたくなな使命感は、地球が滅んでしまう前世の記憶と、余命幾ばくもない現世への絶望という美奈子自身の要因はもちろんある。だが、この使命感は少なくとも初期の段階においてアルテミスが美奈子に植え付け、急き立てたものなのではないかと、このカットされたシーンを読んで思った。たしかに美奈子の実質的な初登場回であるact11で、病室で交わされた美奈子とアルテミスの会話を振り返ると思い当たる。
ルナに比べて精悍な感じさえしたアニメ版のアルテミスに比べて、白いぬいぐるみの実写版のアルテミスは脱力感を禁じ得ないので、アルテミスの発言を私はまともに聞いていなかった。シリーズ終盤において、美奈子だけでなくレイ、うさぎ、まこと、それぞれが前世からの運命を思い、現世での自分のあり方を考え、それぞれの方法で自分の生き方を決めていった。同じようにアルテミスもまた、美奈子の生き方について心が揺れ動いているのがシーン18を見るとわかる。このact35あたりからセーラーヴィーナスではない愛野美奈子が気になりだし、act40の引退宣言騒動を経て、act46の「生きて欲しいんだ!」に到達するのである。美奈子が変わるには、まずアルテミスがヴィーナスの使命より美奈子の命を取らなければならないのである。う〜ん、美奈子回りの話題は重い。どうしても話が重たくなる。明日は一転して軽〜い受付のお姉さんの話です。
(つづく)