春のビデオまつり「怪物の木こり」「愛にイナズマ」

気温の差が激しすぎる。

怪物の木こり
【1,700円】原作が面白かったので見に行きたかったが上映館が少なかった映画。DVDが販売されると配信が始まるのだが邦画もずいぶん間隔が短くなった。これはいいことだ。小説のキャッチコピーが「サイコパスシリアルキラー」。惨殺したのち脳を取り出す連続殺人が起こる。犯人に狙われ大怪我をした主人公。その後も犯人は主人公をたびたび遅い犯人捜しに乗り出す...あいかわらず淡泊な演技の亀梨だが、菜々緒染谷将太吉岡里帆中村獅童ら共演者が支えてそこそこ満足度が高い。だがミステリーの宿命で最後の謎解きパートで、そこまでのテンポの良さが無くなる。主人公対真犯人と、犯人がわかり現場に急ぐ刑事を交互に描いて真相を語らせるとかの工夫があってもよかった。

ルフレス/覚醒した記憶
【1,200円】末期の癌で寿命を終えようとしている高名な建築家。脳をクローン人間にコピーして若い肉体を手に入れる秘密の手術を受ける。クローンと説明を受けていたが、肉体は若くして死んだ誰かのものだった。フラッシュバックされる元の肉体の記憶。主人公は記憶を頼りに彼の家族に会いに行く。そこで判明する手術に隠された陰謀。組織は彼と家族の抹殺にかかる...この「もう一つの記憶」をテーマにした映画はほかにもあり特段の目新しさはない。ただこの映画は最後の決着の付け方が秀逸。そうだよな、みんながハッピーになるにはそれがベストだよな。

蛇の道
【1,700円】黒沢清監督がホラー映画の名作「CURE」のつぎに作った作品らしい。監督自らがフランスでリメイクをしてまもなく公開される。本作はホラーではなくバイオレンス映画とでも言えばいいのか。娘を惨殺された父親(香川照之)が偶然に知り合った塾の講師(哀川翔)の助けを借りて犯人を探し復讐をする。最初に捕らえて監禁した男は犯人ではなく、彼から名前を聞き出して捕らえた男も犯人ではなく、組織を敵に回すことになってしまう。徐々に明らかになる真相と父親の正体、そして講師が手伝う理由...25年前の作品だがホラー映画で有名になった監督の中で黒沢清が頭一つ抜けていていることがわかる作品。登場人物がみんなどこか不気味。

愛にイナズマ
【1,900円】これは映画館で観たかったが配給が東京テアトルなので上映館が少なすぎた。松岡茉優演じる新人監督の主人公、自分の家族をモデルにした映画の企画が通り、予算がついて製作に入ることになった。だがプロデューサーや助監督とことごとく意見が合わなくて、ついには企画だけ取り上げられ監督から外されてしまう。このままでは終われない、終わりたくない、主人公は自分の家族を出演者にして、バーで意気投合した青年を助手にして映画を作ることにした...主人公が傑作を作り復讐する話かと思ったらそもそもそんな力も金もない。10年ぶりに集まった家族が罵り合いの中でゆっくりと再生する物語になっている。拗らせた天才は松岡茉優の真骨頂。何を考えているのかわからない青年も窪田正孝の十八番。おどおどしている父親がまさかの佐藤浩市。兄弟役の池松壮亮、藤原季節はじめ脇役も上手な人ばかり集めて、登場人物がみんな魅力的でいとおしい。アベノマスクが重要な小道具になっているのが笑える。

残り2作は感想を書くのも面倒な内容。

邪願霊
【500円】1989年、フェイクドキュメンタリーの先駆け的な作品。「出るぞ出るぞ」という溜めがないのが残念

激怒
【800円】暴力刑事が暴れ回るだけの映画だがそこそこ楽しめる