午前3時の決勝戦

日本時間の午前2時から4時の間にレスリングの決勝戦と3位決定戦がある。今回はすごいぞ。毎日、日本の男女選手が決勝戦か3位決定戦に出ている。テレビでは放送していないがNHK+かTVerで見られる。生で見られるのは無職だからこそだ。8日の夕方から9日の未明にかけて、レスリングの男女の金メダル、女子ブレイキングの金メダル、ほかにもスポーツクライミングとかセーリングとか盛りだくさんだった。その中でレスリング女子62kg級準決勝ですごい試合があったので紹介したい。たぶんテレビでは放送されてないと思う。

   

日本は元木咲良選手で青いユニフォーム、相手はノルウェーの選手でオレンジのユニフォーム。ノルウェーの選手なのに北欧味がまったくない。

   

ノルウェー優位で進行し、残り時間が1分46秒で5ポイントのリードをされている。バスケットボールならともかく、レスリングでこの残り時間で6ポイントを取るのはまず無理。ノルウェーの選手は勝利を確信し、元木選手はもうダメかもしれないと思っていたかもしれない。

   

元木選手の体勢が崩れたところをノルウェーの選手が猛プッシュ。

   

ノルウェーの選手の左足が元木選手の右足にかかり倒される。ああ、もうだめだ。

   

元木選手が相手の選手の力を利用して、そのまま後ろに投げる。こ、これは、プロレスで言うところのスープレックス。しかも初代タイガーマスクが得意だった、受け身が取りにくい低い姿勢でのスープレックス

   

そのままフォールして元木選手の大逆転勝ち。フォールで勝てばポイント差は関係ない。元木選手が勝つ唯一のチャンスはフォールだったのだ。マンガかよ。こんな大技、こんな劇的な逆転、オリンピックで初めて見たよ。

   

勝ったことより、負けなかったことがうれしいと思う、元木選手が涙。何が起こったかわからない、とは言い過ぎでも信じられないノルウェーの選手は呆然と座り込み動けない。

   

この表情がすべてを物語る。そりゃそうだ、気持ちはわかる。元木選手は日本時間の土曜日午前3時半くらいから決勝戦。決勝戦ではジャーマンスープレックスホールドを決めて欲しい。