梅雨のビデオまつり「海辺の金魚」「犯人に告ぐ」

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海辺の金魚

海辺の金魚

  • 小川未祐
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海辺の金魚
【1,700円】小川紗良ちゃんの長編監督1作目ということで劇場に行きたかったが時間が合わなかった作品。母親が殺人罪で投獄され、小学生のときから養護施設で暮らす主人公は高校3年生。育児放棄と虐待で母親から離された少女が入所してくるが誰にも心を開かない。主人公が少女に向けるまなざしは、そのまま自分自身の境遇に反射するのが切なくて痛い。タイトルは狭い金魚鉢の中で泳いでいるのを哀れに思っても広い海では生きられない金魚に、来年には施設を出て一人で生きていかなければならない主人公の不安を重ね合わせている。あれ、もう終わり?というくらい短く感じたので監督としては及第点ではないだろうか。波打ち際で主人公が慟哭するプロローグがミスディレクションになっているのが紗良ちゃんずるい。あと、主役の小川未佑、可愛いのに眼に力があって武家の娘みたい。

フラットライナーズ
【1,500円】1990年公開のオリジナルと2017年公開のリメイク版を続けて視聴。若い研修医が臨死体験がある患者の話を聞いているうちに死後の世界、とまではいかなくても死んだ後のビジョンに興味を持ち仲間を集めて実験をする。心臓を停止させて、1分後に全力で蘇生措置をする。臨死体験をするだけのはずだったが、蘇生後もそこで会った人が出てきたり、子どものころに自分がいじめてた子が出てきて復讐されたり現実が浸食されていく...オリジナルとリメイク、医療機器がデジタルになっただけで大きな差は無い。むしろ近未来の話にして現代にはない技術を使ってリメイク版を作るのも面白いと思った。オリジナルはハッピーエンド、リメイクはこの人が主役だよねと思ってた人が中盤で死亡。

地獄少女
【0円】これはひどい。配役、演技、脚本、演出、ぜんぶダメ。主役を池田エライザにして、ちょいエロにしたらどうか?

讐 ~ADA~
【1,200円】学習塾に2人の少女が乱入し、講師と2人の生徒を殺害。主人公である3人目を殺害しようとしたところで反撃に遭い失敗。その後、犯人は主人公の母親を誘拐し、拷問と殺害をするところを主人公にネット中継で見せる。犯人と戦うことに決めた主人公は武器を用意して犯人を待ち伏せる...これが第一部で、第二部は犯人が主人公である第一部の前日譚と犯人の目から見た第一部。第一部と第二部で被害者と加害者が入れ替わっているのがミソ。出演はエンドロールを見ると聞いたことがないアイドルグループのメンバーで演技はそれなり。警察はなにをしているんだとか、重そうなハンマーは女子高生が使う武器には不向きだろうとか、突っ込みどころはたくさんある。そのわりに高得点を付けたのが、白石晃士監督の作品なのにさいごまでちゃんとしていた点。この人、ジグソーパズルの最後の1ピースをはめるときにボードをひっくり返す。監督はカタストロフィのつもりなのだろうが、完全に物語が破綻していて「最後に笑いを取りに来たの?」と思ってしまう。本作は珍しくきれいな終わり方、やればできる子であることを見せた。

スナッチャーズ・フィーバー
【1,200円】POV形式のホラー映画。4人の大学生が調査のために田舎町へ行くがなにかが変だ。彼らがホラー映画のファンならそこで引き返したと思うが、一泊しちゃったので翌日にはもう手が付けられなくなっている。最後まで敵の正体がわからないので、すっきりしたい人には向いてない。あとこの映画が画期的なのは、POV形式(登場人物の誰かがハンディカメラで撮影している映像)なのに、この映像は誰が撮ってるの? このアングルから撮影できる人は登場人物の中にはいないよね? という点を気にしてないこと。

犯人に告ぐ
【1,900円】なぜかAmazonプライムビデオに無い。原作のテイストを生かした良作、主演の豊川悦司も小説のイメージにぴったり。幼児連続殺人事件が発生するが捜査は難航する。警視庁は起死回生のため、捜査責任者がテレビに出演し情報提供を呼びかけることした。白羽の矢が立ったのが過去の誘拐事件の失敗で左遷されられていた主人公。だが彼はテレビで事前の打ち合わせを無視して「おまえと話がしたい。連絡をよこせ」と呼びかける...クライマックスの「犯人に告ぐ」で始まり「今夜は震えて眠れ」もトヨエツ、よくやってくれた。原作を読んだ人なら震えるよ。