冬のビデオまつり「シュシュシュの娘」「ドラキュラ/デメテル号最期の航海」

「どうする家康」と「パリピ孔明」が終わっちゃって「あたりのキッチン!」も明日が最終回。1月から「正直不動産」が始まるけどあとは何かあるのかな。読者の方は私の好みがわかっていると思うので良さげなドラマがあったら教えてくだされ。

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  • アニー・ハーディ
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【1,000円】ブラムハウス製作なのだが、これは外れだったな。配給元もそれがわかっていたみたいで、公開館が都内は2つで、千葉県はゼロ。主人公は街を車で流しながらラップを配信する女性。ロックダウン中のロサンゼルスを抜け出してイギリスの元カレを訪ねる。彼の車を勝手に拝借して街に出たとき、一人の女性を指定の場所まで連れて行く依頼を受ける。だがこの女性がなにかおかしい...主人公の行動は配信のためつねに撮影されており、観客はそれを見ているいわばPOV(Point Of View)型式の映画。後半になると派手な怪異や事件が起こるのだが、主人公が倒れたり回れ右で逃げ出したりで全貌があえて見えないようにしている。それはそれで挑戦的な試みだがわからなすぎてだんだんストレスになる。

シュシュシュの娘
【1,700円】2020年のコロナ禍。仕事がなくなった俳優やスタッフ、上映するものがないミニシアターのために入江悠監督が自費とクラウドファンディングで集めて資金で作った自主製作映画。主演の福田沙紀、チョイ役の宇野祥平井浦新以外は初めて見る出演者。ロケ地も家の庭や河原という超低予算のB級映画なんだが、金が無いだけで演出・脚本・編集の完成度はすごく高い。終盤の強引な展開も「しかたないよ、B級映画だから」と大甘の目で見ているので許せてしまう。タイトルの「シュシュシュ」は忍者のこと。寝たきりの祖父と二人暮らしの主人公。父親代わりの男性が市長の汚職に巻き込まれ自殺をしてしまう。祖父から「汚職の証拠を撮影したUSBを探して敵を取れ」と言われるが主人公にできるはずもない。だが祖父から「我が家は忍者の末裔だ」と聞き、納得する主人公。なんで? さっそく忍者の装束を作る。形から入るのはわかるが忍者に必要な身体能力も技もないでしょ。

ドラキュラ/デメテル号最期の航海
【1,500円】ブラム・ストーカー原作「吸血鬼ドラキュラ」の第七章の話らしい。いまから100年前、ルーマニアからロンドンまで50個の木箱を運ぶためにチャーターされた帆船で夜ごと奇妙なことが起こる。正体が明らかになったとき、ここは海の上、逃げられない...映画のポスターや予告編では姿がはっきり出てこないが、DVDのパッケージには思い切り出ているのはどうなのよ。見てわかるとおり、紳士ではなく怪物。十字架を恐れない以外はよく知っているドラキュラのスペック。はやり航海中の船という密室に怪物がいるのはやべえよ。

禁じられた遊び
【50円】これはひどい。映画館で観た人はご愁傷様でした。「リング」仄暗い水の底から」の中田秀夫監督だが、この監督は「リング」だけの監督のようだ。「スマホを落としただけなのに」はまあまあ佳作だったが、本作はひどい。まずは原作がダメ。たぶん誰が脚本を書いても面白くなりようがない。つぎに出演者。橋本環奈はコメディ以外は無理ではないかな。そこをなんとかするのが演出だが、なんとかなってない。ほかの主要人物が、ジャニーズ、ファーストサマーウイカ、シソンヌ長谷川。この原作、この脚本、この配役で、どのような勝算があって映画を作ったのだろう。途中で首チョンパになって退場してしまうが、チャラ田さんが出ていて彼だけがプロの演技をしていた。