非正規雇用は増えているが正規雇用は減ってない

最近よく目にするのが「非正規雇用が増えている」、「若者の貧困が増加している」、「企業は非正規雇用ばかり増やしている」、「非正規雇用では結婚できない」というメッセージ。これに対して私の感覚は「そんなに非正規雇用が増えているか?」だ。私の知り合いのお子さんで正社員になれなくてアルバイトや派遣社員をしている若者はいない。東洋経済オンラインに記事があったが、これは誰でも見られるのかな。

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会員にならないと見られないときのためにグラフを3つだけ掲載させていただく。

30年間の正規雇用と非正規雇用の人数を表わしたもので、正規雇用はほとんど変わってない。65才以下の人口が減っているので右肩下がりになるのはしかたないが、それを考慮するとむしろ増えている。そして非正規雇用はこの30年で倍以上に増えている。つまり30年前は正社員になれたはずの人が現在はアルバイトや派遣になっているわけではなくて、まったくべつの母集団から非正規雇用が沸いて出てきているのだ。ではどこから?

男女別、年代別の1988年と2020年の非正規雇用の人数の比較。青が1988年、茶色が2020年だ。顕著に増えているのは65才以上の男性、および45才以上の女性。以前は正社員だったひとが非正規になったわけではなく、以前は働いていなかった人が非正規社員として働くようになったわけだ。ただし、この人たちは「働きたい」のか「しかたなく働く」のか、ここは別の社会問題があるかもしれないが本論のテーマではないので触れない。また、この層の人たちはフルタイムの正規雇用よりパートタイムを希望する人が多いようには思うのだが、フルタイムで働きたくても働けないのなら、そこにはまた別の問題があるのかもしれないが、これもテーマでは無いので触れない。さらに44才以下でも非正規雇用は増えており、ここには正社員になりたくてもなれない人がいるのかもしれない。これだけ中年以上の女性、高齢の男性の雇用が多いということは、もしかすると日本は人口に対する雇用者、つまり労働参加率がすごく高いのではないかと想像できる。そのグラフがあって、

これは25才から64才までの労働参加率だが、日本は世界で4番目に高い。これに65才以上を加えたらもっと高くなるだろう。ということで「非正規雇用はそんなに増えているのか?」という私の疑問は解消できた。そういうおまえも働けよという天の声が聞こえてくるがそこは聞こえないふりで。