北川景子「どうする家康」

華子様、結婚かあ。お相手は一般人。華子様だっていまは9割方が一般人だから今回は大丈夫なのではないか。妻が多岐川華子であることより姑が多岐川裕美という事実のがインパクトがでかい。私ならお母さんの豪邸で一緒に暮らしちゃうけど。

   

名前が出るタイミングが、以前は松潤岡田准一北川景子、そしてタイトルだったのが、今回は後ろの一枚看板の先頭。そういうステータスになったのね。

   

画面が暗くてわかりにくいか。前回の予告編で、お市の方はなんで軍服を着ているのかと思ったら、夫の柴田勝家豊臣秀吉が戦う「賤ヶ岳の戦い」でお市の方が事実上の総大将なのか。「史実と違う」と自称歴史研究家が騒いでいるが、この人はこういう人だという伏線は北川景子が初登場したときに張られている。なにより後半に北川景子の見せ場がある。だがその前に、シリーズ後半に向けて重要な伏線が張られた。市と家康は幼いときに約束をしている。

   

お市様のことはこの竹千代(家康)がお助けします」とチビ家康。織田家に取って代わろうとする秀吉に反旗を翻した戦いではあったが、柴田勝家が頼りにしていた織田家臣はすでに秀吉側に寝返っており、秀吉vs織田家臣団の戦いのはずが、秀吉連合軍vs柴田勝家になってしまった。敗走し籠城する柴田勝家。城にも鉄砲が撃ち込まれる。家康に手紙を出し、徳川軍の到着を待つお市の方

   

だが聡明な彼女、それが儚い望みであることもわかっていたはずだ。徳川側でも軍議が開かれるが、すぐに助けに行こうという若手に対して、それをやったら秀吉と全面対決になる、いまはそれができる時期ではないと諫めるベテラン。ドラマなので実際はどうだったかはわからないが、最後は徳川が覇者になったことからそれに近い形だったと思うが、徳川勢の強いところは家臣が殿に反対をすること。これは現代の会社組織でもすごく大事。それを実現するには、自分に反対意見を言える人間をそばに置いておくこと。だって冷静に考えたら誰も反対しないのは怖いよね。自分が間違っているかもしれないじゃないか。これをやらなかったのがビックモーターだな。もう一つ、徳川家臣団のすごいところが、親を殺したり殿を殺して成り代わるのが当たり前だった時代に、家康というヘタレな殿様に忠誠を尽くしたこと。もちろん家康に徳があったからこそなのだが。

   

「約束をいちばん果たさねばならぬとき果たせぬ」、信長、信玄、秀吉にひたすら我慢の家康の人生。

   

市の長女である茶々、のちの淀殿が「徳川殿は嘘つきということでございます。茶々はあの方を恨みます」。さらに別れの場面では「母上の無念は茶々が晴らします。茶々が天下を取ります」。ここで関ヶ原以降の伏線が張られた。秀吉を使って家康に復讐する。さらに秀吉をも飲み込んで天下を取る。関ヶ原で徳川に負けてから大阪城を明け渡して一地方大名になっていれば豊臣家は明治まで生き延びたものを。この子に流れている織田の血が濃すぎた。市は娘三人を頼むと秀吉に手紙を書いて送り出す。「そなたも出よ」という柴田勝家

   
   「一度ならず二度までも夫だけを死なせて生き恥を晒すことこそ
    地獄にいる兄に笑われようぞ」

   
   「敗軍の将はその責めを負うもの。一片の悔いも無い」

なんかベルばらの世界になってきたが、かっこいいぞ。軍服は着なかっただろうが、夫とともに自害したのは史実。秀吉の元に行くより死を選んだのは事実なんだろうなあ。ということで北川景子退場。出番は多くはなかったが、おいしい役だったよね。