7月に読んだ本

著者お得意のどこまでが実話でどこからが創作かわからない実話怪談風の小説。凄惨な殺人事件や事故が起こった家を巨大な敷地に丸ごと持ってきてつなぎ合わせる。最近、映画化されたウィンチェスターハウスのもっとエグいやつ。そこに一定期間住むと家賃はタダで生活費ももらえるという条件に乗ってしまった人の体験談。


火のないところに煙は

火のないところに煙は

著者はじめての実話風怪談集。怖さのバリエーションに富んでいるのは、むしろ怪談を本業としていない作家だからこそ。最終章で全部の話に共通するあることが明かされるがちょっと強引かな。


4次元、仏教、洗脳、時間、悟り、著者の膨大な専門知識を対談形式でやさしく解説。私はこの人と、萱野稔人を完全に混同していたよ。


失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!

失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!

これはお子様にお勧め。小学生の読書感想文で何を読むか決まってない子どもはこれにしろ。歴史に名を残す偉業を成し遂げた人もこんな失敗をしていたという逸話を豊富なイラストで綴る。紹介されている失敗もその人のキャラ故のことで、それがあったからこそ偉業も達成できた。


戦前の怪談

戦前の怪談

戦前に活躍した作家の怪談集なので、この著者がこのタイトルを付けたわけでは無い。すごく長い話なのにオチが無い話も多いが小説としてストーリーを楽しむべきなのだろう。昭和の初めも平成も、言われなければわからないほど差がないよ。


禁断の現場に行ってきた! !

禁断の現場に行ってきた! !

富士の樹海、廃墟、事故物件、さらには北朝鮮新興宗教まで、ふつうの人が避けるありとあらゆる場所のレポ。樹海はこの人が散策をしているときに死体を見つけて、その話を友人にしたら私も行きたいとまた行ったらまた死体を見つける。これはそれほど死体がゴロゴロあるわけではなくて、著者の引きの強さなのだろう。あとゴミ屋敷のバイト。テレビで見るちょっと変わった人だけでなく、普通のサラリーマンやOLも油断をしているうちにどうにもならなくなって専門の業者に頼むケースのが多いのな。


セント・メリーのリボン 新装版 (光文社文庫)

セント・メリーのリボン 新装版 (光文社文庫)

分類するなら「ハードボイルド」なのだろうか。20年前に他界している著者だが、谷口ジロー氏のコミックで再発見され、今回は同氏のイラストの文庫本が再版された。どれもいい話だよ。高校生の読書感想文にお勧めしたい。その谷口ジロー氏も亡くなったんだよなあ。


デフレ、アメリカの覇権、中国のナショナリズムなど現代の問題を哲学者である著者が解説するもの。LGBTの生産性だとか入試で男女に差をつけていたとか、あとからあとから同じ視点で吊し上げるニュースばかりだが、別の切り口で「たしかにそれは問題ですが、でもこういう点は見落とされていませんか? これを機会にそこを考えてみませんか?」と提言する記事や自称有識者はいないのか?