9月に読んだ本

怪談グランプリ 2017 未公開! タブー怪談

怪談グランプリ 2017 未公開! タブー怪談

聞いたことがない作家のアンソロジー。本のタイトルに反して妙に心温まる話があって意外。


ブレイン・ドレイン

ブレイン・ドレイン

その人が凶悪な犯罪を犯す可能性を、脳の検査によって知ることができるようになった未来。陽性になった人は隔離される。アイデアは悪くないし、主人公につぎつぎに起こるピンチで最後まで飽きないのだが、登場人物が薄っぺらい。こういう小説は脚本でうまく肉付けをして映画化すればよいと思う。


分断された時代を生きる (知のフィールドガイド)

分断された時代を生きる (知のフィールドガイド)

東京大学教養学部の名物講座の書籍化。これだけいろいろな分野の専門家に、専門外の人でも興味を持てる話題について講義をさせるのは簡単にはできない。たぶん、あの講座で話すのは名誉なことという伝統があるのだろう。この年になって大学時代、もっと教養課程でいろいろな講座を聞けばよかったなと後悔している。でも19才ではそれがわからないんだよな。


やってはいけないデザイン

やってはいけないデザイン

レイアウト、配色、フォントについて、良いデザインと悪いデザインをクイズ形式で選ぶ本。自分で考えて不正解だったものも多くて解説を読むと納得。その道のプロではなく社内のプレゼンや町内会のポスターを作る人を対象にしたものなのでビジネスマンなら1度はこの手の本を読んでおくのも悪くない。


タイトルの「頭が真っ白になりそうな時」とは不倫の現場に奥さんが入ってきたときではなく、会議で発表をしたときに質問をされたときや、プレゼンで反対意見が出たとき。結論は「しっかり準備をしておく」という当たり前のことだが、その準備のしかたの話。


不寛容な時代のポピュリズム

不寛容な時代のポピュリズム

タイトルにひかれて読んでみたが、作者が別の本でも書いている「同調圧力」。だがそれがどうして強まっているのか、それに対抗するにはどうすればいいのかとか、作者の疑問や主張の先にある、あるべき社会の姿が見えない。


4人の作家が3編ずつ書いたアンソロジー。古本屋で安かったから買ったのだが、この作家の集め方や作品のテーマがよくわからない。なにかの雑誌に掲載されたものなのかな。ウルトラマンジードのシリーズ構成をやっている乙一はさすが読み応えがあるがあとは玉石混交。ただ「こういうテイストの作家がいるんだ」という、未経験の食べ物を口にしてみた面白さはある。


ほとんどが作者の専門のリーマン予想ゼータ関数に関するものだった。そしてほとんど理解できなかった...


怒り 上 (小学館文庫)

怒り 上 (小学館文庫)

怒り 下 (小学館文庫)

怒り 下 (小学館文庫)

ひさしぶりに読んだ長編の海外ミステリ。登場人物が多いと途中で名前がわからなくなるので敬遠気味だがkindle小学館30%オフセールをやっていたときに買った。舞台はポーランド。馴染みのない国なので街並みや国民の心情の模写がすごく興味深い。特にドイツに対する感情。物語はほとんど一件の殺人事件の捜査で上下二巻のボリウム。その代わり主人公の思考や心情をどこまでも掘り下げる。こういう小説って日本のミステリでは無いかも。ずっと主人公に感情移入をして長い話を最後まで読んでこのバッドエンドってどうよ。