12月に読んだ本

月輪(がちりん)先生の犯罪捜査学教室

月輪(がちりん)先生の犯罪捜査学教室

時代は明治、帝大で犯罪学を教える教授が3人の学生を連れて犯罪現場に行く。警察から状況を聞いて学生が推理を披露する。最後に教授が一人一人の推理の問題点を指摘して、正解、つまり真相を話すというもの。設定は面白そうだったんだがなあ。ひさしぶりに大外れをつかんだ。


問題解決ドリル―――世界一シンプルな思考トレーニング

問題解決ドリル―――世界一シンプルな思考トレーニング

一問一答形式で内外の企業は何に困ってどこに活路を求めて何をしたかを解説。ドリルといっても自由度が高すぎて正解は出せないが、問題がそのままその企業が突き抜けたかった壁なので答えを見たときの「おー!」という感心がある。歴史の参考書なんかもこの形式だと面白いかもね。


さまよえる自己―ポストモダンの精神病理 (筑摩選書)

さまよえる自己―ポストモダンの精神病理 (筑摩選書)

なかなかの名著なのはわかるが、いまここで要約を書けるほど私が理解できていないのが残念。著者は精神科医だが、内容は脳科学、神話、哲学、言語など様々な分野に広がり、最後に精神医学に戻ってくる。大平健さんもそうだが精神科の先生はすごいね。


拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

最近のお気に入りのホラー短編集。本作は筆者が子どものころに体験した話、彼の両親や祖父母が体験した話、最後に筆者が成人してから彼の家で起こった怪異というか厄災の連作になり、最後に彼が拝み屋になって巣立っていくまでの話。こんな人生、イヤだ。次作が待ち遠しい。


女學生奇譚 (文芸書)

女學生奇譚 (文芸書)

「この本を読んだら死ぬ」とメモが挟まった本、その持ち主である男性が失踪し、妹がこの本を手がかりに兄を探して欲しいと主人公に依頼する。その本は戦前の女学生の日記なのだが読み進めるうちに女学生が置かれた異様な環境、そしてそれを読む主人公の周りで起こる事件...アイデアはなかなか良いのだ。意外な真相も良い。だがいくつか無理な力業があり、著者の次作に期待したい。


世界一は大げさだがマスコミの経済記事がいかにでたらめに報じる日本経済の実態を豊富なデータで説明する良書。たとえば日本政府は1000兆円も借金があってもうダメだ、とよく書かれている。だが100万円の借金があっても貯金が1000万円あれば心配ないわけで、一面だけ切り取っても経済はわからないと。なるほど。


たとえる技術

たとえる技術

著者はなにをやっている人なんだろう。物事をおもしろくたとえるにはどうしたら良いか。そのノウハウと豊富な実例が書かれた本。使えそうなやつをメモしておいたんだけど、どこにメモしたか忘れちまったぜい。


毒殺協奏曲

毒殺協奏曲

毒殺のアンソロジー。そうか、毒殺というのは被害者を殺すときに犯人がその場にいなくてもいいわけか。


サブマリン

サブマリン

伊坂幸太郎の新作。おきまりのパターンで、真面目で気が弱い主人公、一見すると不真面目で強引だが実は物事の本質を考え行動している先輩のコンビ。タッチは軽いが今回のテーマは重い。罪を犯した人間はいつ許されるのか。


i(アイ)

i(アイ)

幼いころに自我が確立してしまってひたすら自分の内面を見続ける主人公。これは実につらい生き方だ。答えがない問題を問い続け自分を責める主人公が可愛そうだ。この小説は絶対に映像化不可能。というか映像化にもっとも向かない作品。名作のコミック「二元交差点」に「神様にかわって俺がおまえを許す」と言ってあげたい。別に悪いことをしていないので許しようもないのだが。


12月分が終わったので今年の面白かった本。

  フィクション部門

    拝み屋郷内 花嫁の家(11月)

    みかづき(10月)

    私の消滅(7月)

    悲しみのイレーヌ(6月)

    本日は大安なり(6月)

    きみはいい子(4月)

    デブを捨てに(3月)

    我が家のヒミツ(1月)

  ノンフィクション部門

    財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済(12月)

    おとなの教養(11月)

    学校では教えてくれない地政学の授業(11月)

    ミライの授業(9月)

    ダメな議論(8月)

    なぜ私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?(7月)

    「学力」の経済学(1月)

例によって今年に読んだ本なので、今年に刊行された本とは限らない。あとブログを書いた当時は「今年の最高傑作はこれだ」と書いた本が漏れているかもしれない。すげえテキトー