今回も異色作5本だ。
ガンズ・アンド・キラーズ
【1,500円】ニコラス・ケイジの西部劇。だがそこはニコラス・ケイジ、単純な設定ではない。非情な(というか生まれつき感情が無い)賞金稼ぎだった主人公だが、ある女性と出会ったことで銃を捨て彼女と生きる道を選ぶ。雑貨店の店主として暮らし娘もできた。この娘は父親に似たのかしっかり者すぎていまいち子どもらしい感情が無い。昔、自分が殺した男の息子が仲間を連れて復讐に来る。主人公と娘はたまたま外出していたが、妻が惨殺されてしまう。妻を失ったことで心の切替スイッチが非情な殺し屋になり復讐の旅に出ることにする。それには娘が邪魔なので殺そうとするが(もう心が無いから)娘はまったく怯えず命乞いもせず「私を殺したらママが悲しむよ」と思いとどまらせる。娘に射撃を教え、二人で犯人を追跡する...父親以上にクールな娘が生意気という感じはしなくて、むしろ憐れさを感じる。クライマックスからラストがあっさりしすぎて、ここはもうちょっと濃厚にできなかったのか。完全に子役に食われているニコラス・ケイジが好き。
Ms.ベビーシッター
【1,200円】タイトルとかポスターから連想される映画がナーメテーター物の名作である「Mr.ノーバディー」。だがこれは日本の配給会社がやったことで、原題はまったく違っていてポスターも違う。「Mr.ノーバディー」に似せたことで期待値が上がりすぎて、かえってがっかりする悪い見本。主人公は高校を卒業したが進学も就職もせず無気力に過ごし、たまにベビーシッターのアルバイトをするくらい。なぜかサマーキャンプだけは10年間欠かさず参加している。バイト先の家で小学生の娘の面倒を見ていた夜。予定より早く帰ってきた両親、主人公は娘とかくれんぼうで遊んでいて隠れていたときに狂信的なテロリストが乱入する。難を逃れた主人公はサマーキャンプで身につけたサバイバル術を駆使して家族を助けようとする...アイデアは良いのだが映画の作りが残念。それこそ「Mr.ノーバディー」のスタッフが作ったらもっと面白くなったはずだぞ。
デモンズ
【1,000円】「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督作品。映画館でホラー映画の試写会が行われる。映画に出てくる呪いの仮面がロビーに飾ってあり、ふざけてそれをかぶった観客が、上映中に怪物になり襲われた観客も怪物になる。入口は閉ざされ逃げ場のない観客はパニックになる...怖くはない。ホラー映画というより怪物映画。40年前の映画なのでいかにしても演出が古い。唯一の良い点は出演している女性がみんなイタリア美人なこと。
イット・アワーズ
【1,200円】主人公は不動産屋の社員。賃料が支払われていない家族を立ち退かせるのが彼の仕事。病気の老婆を立ち退かせたことで、その老婆から呪いをかけられ主人公と彼の家族に不可解な出来事が起こり、ついには命を狙われることになる...これはサム・ライミ監督の「スペル」と同じ展開。その映画も本作も主人公は法律と規則に則って処置をしただけなのに逆恨みで呪われるのが気の毒すぎる。クライマックスからラストまで一気になだれ込む展開は嫌いでは無いが、あれで呪いが解けたのかどうかよくわからなかった。
キャプテン・ノバ
【1,700円】珍しいオランダ製のSF映画。人類の滅亡を回避するため主人公はワームホールを通って25年前の世界に来る。ところが主人公の身体も37才から12才の少女になってしまう、いわばSF版名探偵コナン。着陸地点で出会った少年の助けを借りて任務を遂行しようとするが、宇宙から飛来した未知のロケットなので防衛省の調査チームと軍隊に追われることになる...主人公が持っている武器に撃たれると、その人だけ時間の流れが100分の1くらいになる。相手を傷つけずに動きを止めることができるわけだ。睡眠銃でもいいのに、このアイデアは視覚的に面白い。この武器とか、過去への移動とか、たった25年でここまで科学技術が進むのかはかなり疑問だが、オランダにはフィリップス社がある。自分が子どもになってしまったためにミッションは失敗して元の世界に戻るところで映画の残り時間15分。エンディングにはまだ時間があると思ったらここで2回目の挑戦をするとは。85分の短い映画だが、2時間にして細部を描き込んだら傑作になったと思う。身体は12才だが心は37才なので淡々としている主人公がすごく可愛い。