年度末映画まつり「ベイビーわるきゅーれ2」「シン・仮面ライダー」

新宿まで行ってきたよ。外国人の観光客が増えてきたね。

   

なんと、全国ロードショーだ。といっても松竹系だけなんだけどね。これと仮面ライダーを同じ日に見られるのが新宿しかなかった。こんなマイナーな映画、観客は20人くらいだろうと思ったら、新宿ピカデリーで7割の入り。私の席のすぐ左には誰かが座っていて、右も一つ空けて座っている。これほど密な状態で映画を観たのは久しぶりだよ。昨年の中川龍太郎監督「やがて海へと届く」もそうだったが、せっかくの全国ロードショーなのに「やっちまったなあ」が感想。ふつう続編は敵がより強大になっているものだろ。弱くなってどうする! それでは最後の肉弾戦が盛り上がらないから、なぜか急に強くなる。1作目で面白かった二人のダラダラした日常の描写が、中盤が長すぎてちょっと中だるみする。穴はいろいろあるのだが、この阪元監督の初期作から見ている私としては、続編としては及第点の出来だと思う。最初のころの作品は「高校の文化祭で作った映画かよ」というものだった。主役の二人組を殺して、殺し屋組合の正会員になりたいチンピラの兄弟が続編の準主役。その弟がなんとウルトラマンジードの濱田龍臣くん。エンドロールの配役のクレジットで彼の名前がいちばん最後の一枚看板だったよ。たしかにこの中ではいちばん有名な俳優だ。

   

結論から言おう。仮面ライダーの1作目、本郷猛・一文字隼人編をリアルタイムで見ていなかった人、とくに平成ライダーからのファンにはお勧めしない。ただし、浜辺美波はほとんど主役といってもいいくらいの存在感なのでファンは観に行くべし。この実写版「シン」シリーズ、ゴジラウルトラマンは新解釈によるリメイクと言ってよい。シン・ゴジラは、ゴジラが現われたときの社会の反応を描いたポリティカル・スリラー。ゴジラを人知を超えた災害のアイコンとして扱ったことが成功したと思う。シン・ウルトラマンは、テレビシリーズでは触れてない「怪獣とウルトラマンが日本だけに現われる現象」の理由付け、意味付けを行なった、ウルトラマンの再定義。なるほどと納得はできるのだが、物語が面白くなる方向に作用してないのが失敗だと思う。それでは「シン・仮面ライダー」は、どんな新しい切り口や、新しい映像が見られるのかと楽しみにしていた。ライダーも怪人も人間サイズなので「私が知らないところでこういう戦いがあるのかもしれない」というリアリティがある。で、実際に鑑賞したうえで一言で表わすと

テレビ版・仮面ライダー1作目の忠実な復刻版

そう、リメイクではなく、現在の技術を使って当時と同じものを作る「復刻版」がもっともしっくりする表現だ。たとえば、ライダーが飛び上がって空中で回転して敵にキックする。いまの技術ならこれを連続した動きとしてワンカットのように見せられるはずが、テレビ版と同じカット割りにする。記憶の中にある仮面ライダーと違うものを見せない。それがこの映画のポリシーのように思った。これはかなり賛否両論ではないかな。だが考えてみると人間サイズのヒーローが活躍する映画を最新の映像技術で作っても、アベンジャーズ以上のものを日本で作れないから、昭和の枠から踏み出さないようにしたのか。私は予備知識なしで映画館に行ったのでエンドロールを見て驚いた。松坂桃李大森南朋はどこに出ていた? 怪人の声をやってたのか。あとエンドロールには名前があるのにポスターに名前がない大物俳優がいる。これはシークレットなのか。これもまったくわからなかったぞい。