新年映画まつり「ゴジラ-1.0」「ある閉ざされた雪の山荘で」

   

映画やドラマの感想を書くとき「私は○○と思ったので見た方がいい」、あるいは「○○な点がダメだから見ない方がいい」というつもりで、内容には触れずに書いている。だが今回だけはこの映画を観た人に向けて私の感想を書きたい。よって盛大にネタバレを書く。これから観に行こうと思っている人、1年後にDVDの販売や配信が開始されたら見ようと思っている人は読まない方がいい。ただし、うっかり読んでしまっても映画の面白さはそれほど損なわないと思う。

ネタバレ開始

この映画のキャッチコピーを考えた。「ゴジラ以上に不死身の浜辺美波」。終戦時に二十歳くらいということは昭和の元号と年令が同じくらいだから、64年+30年+5年でいまは99才。絶対にまだ生きているし、朝のランニングや新聞のクロスワードパズルも欠かさないお婆ちゃんのはず。最近の流行であるマルチバースの考えに則れば、ここで死んだゴジラが昭和29年に第一作として出てきたり、キングコングメカゴジラと戦っても問題ないのだが、山崎監督はゴジラに「驚異の再生能力」をあらたに定義して以降の作品と矛盾がないようにした。それでも浜辺美波には劣る。私が唸ったミスディレクションの小技が戦闘機の脱出装置。やっと死に場所を見つけた主人公に対して青木崇高ゴジラに突っ込む前にこの赤いレバーを引けと説明する。ああ、きっとあれが脱出装置なのね、彼はもう主人公を許しているのねと思ったのよ。ところが赤いレバーを引いても何も起こらないので自分の考えすぎか、やっぱり玉砕するのかと思ったらそう来たか、まいった。

ネタバレ終了

映画「パシフィック・リム」を見たとき、もう日本では怪獣映画は作らない方がいい。どんなに頑張ってもハリウッドに見劣りすると思ったんだよ。シン・ゴジラやシン・ウルトラマンが日本の限界だと思っていたのだが、なんだよこれ。まったく遜色がないじゃないか。考えてみれば日本映画だからといって富士通NECのコンピュータを使うわけではなく、ハリウッドとコンピュータやソフトは同じものを使っているだろうから予算と手間と根性があればこういう映画を作れるのか。あと、地球防衛軍はおろか、自衛隊さえいない時代にどうやってゴジラを倒すか。それがゴジラ第一作みたいに未知の薬品を使うのではなく、ありそうな技術だったのも良かった。

   

ゴジラが終わってからすぐに見られる作品がこれしかなかったんだよね。はっきり言おう。私がここ数年で観た映画でいちばんの駄作だ。自分が気に入らなくてもどこか良い点を探して書こうとは思っているのだが、これは酷い。主役がこの人だから期待はできないけど、東野圭吾の原作なのでギリギリのところで踏みとどまる作品になるだろうと思ってたのに、階段の下まで転がって床を突き抜けて地下室の床も突き抜けて地面にめり込んじゃったよ。クローズドサークルのミステリ作品なのだが、東野圭吾がこんな話を書くはずがないので、原作を2時間の映画にするにあたって省いたり変えたりする過程で致命的なミスをいくつも犯してしまった感じ。本作はミステリとして成立していないのだよ。おそらく監督も脚本家もミステリ作品の経験がないのだろう。最後に真相が明らかになっても馬鹿にされたような感じで、答えて欲しい質問がいくつもある。また、全体的に動きが少ない話なので登場人物の魅力で引っ張っていく映画のはずなのに、主役をはじめ人物に魅力がなさすぎ。終盤で登場する森川葵だけが輝いている。上のポスターを見てもわかるでしょ。脚本、演出、配役、すべてに失敗した映画、監督は飯塚健という人か、覚えておこう。森川葵を主人公にしてもう一度取り直さないと東野圭吾に失礼だぞ。