恐怖とは脅威

昨日の補足。「聖地X」だが、映画としては上手に作られていると思う。岡田将生川口春奈のファンは見るべき。

ただ、これがホラーかとか、この映画は怖いかと聞かれるとノーだな。不気味ではあるが(それも前半だけ)怖くはない。なぜかと考えたとき、この映画を思い出した。

ハロウィン・レポート(字幕版)

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  • ブランディ・シェイファー
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こちらはお勧めしない。てか、見るな。映画としての出来が悪く、さらに後味が最悪。全米でもっとも怖いお化け屋敷を探し回る主人公たちグループ。都市伝説的に語り継がれている場所をついに見つけた。正確なセリフは忘れてしまったが、主人公が「なぜこんなことをするの!?」と聞くと「最大の恐怖は死だからさ」。かといって本当に殺すなよ。家に帰るまでがお化け屋敷ですよ! 恐怖とは死、そこまでの経験をする人は少ないと思うが、人生の中で恐怖を感じた瞬間は誰にでもある。恐怖とは脅威ではないだろうか。自分が持っている有形、無形のものの存在への脅威。それを失うかもしれない怖れが恐怖だと思う。命、身体、健康、財産、社会的地位、家族、友人、いままでの日常、それを失いそうになったときが恐怖の瞬間。

そう考えると「聖地X」は脅威が無いんだよね。だから怖くない。アレした人がアレになって人を襲うようになったら怖いが、そうなると後半の展開がまったく別のものになってしまう。では脅威が無い恐怖ってあるのかだが、すぐに思いつかなかった。「死霊のはらわた」のゾンビみたいなのが出てきたら怖いが、そいつがすごくいいやつで飯をおごってくれたり掃除をしてくれたら怖くない。じゃあ、絶叫マシンは? あれは人間が原初的に持っている「危険」を回避する能力、危険な状態になると恐怖のスイッチが入り遠ざけようとする。そのスイッチをどうやって入れるかってことだと思う。お化け屋敷もビキニの吉岡里帆が出てくるとわかっていれば怖くないでしょ。逆にスーツ姿の女性がでてきて「これを吸うと身体に悪いわよ」とか「あなたのカード、スキミングしちゃったわよ」と言われたら怖いかもしれない。あとマナー講師も怖い。