晩秋のビデオまつり「あん」「転々」

今回は名作2本と、残念なのが4本だ。

   f:id:M14:20191124145355j:plain 1,900円

樹木希林最後の主演作と書いてある。公開されたときは最後かどうかわからないので、これはポスターではなくてDVDのパッケージかな。予告編は何度も観たが、永瀬正敏のどら焼き屋に老婆が雇ってくれと来るが追い返す。老婆が置いていった餡を食べたらあまりのおいしさにびっくり。その老婆を雇ってどら焼きを作る。予告編を観たとき、この二人のサクセスストーリーかと思ったが、ここまでは開始30分まで。ここから先は予告編で語られなかった重い話になり、これこそこの映画の本題。ただそのテーマを社会に対する怒りとか、被害者の悲惨さを前面に出さないで描くことで逆に見る物の心に浸みる。ヨットでニューヨークに来て絶叫するのと正反対の訴え方があることをこの映画は教えてくれる。窮地に陥った主人公、じゃあこうすれば良くねと私は思ったが、そのとおりのラストになった。

 

   f:id:M14:20191124145352j:plain 1,900円

三木聡監督の映画をぜんぶ見ようと思ってこれはAmazonビデオに入ってなかったんだよね。それが入ってしかも期間限定で96円! Amazon最高すぎる。しかもなんだよこの映画。話も面白いし、出演している役者が全員上手で役にぴったり。小ネタ満載というか、小ネタをつなぎ合わせて一本の映画にし、しかもメインストリームがぶれてない。オダギリジョーはこういう役をやらせたら日本一ではないだろうか。三浦友和もサイドストーリーの松重豊も最高だった。

 

   f:id:M14:20191124145348j:plain   500円

エレベーターに閉じ込められる話はけっこうあるのが、それの最低作品がこれだ。大都会のど真ん中、しかも大企業の会長が閉じ込められているのになぜ救出に来ない?! しかも登場人物全員がバカすぎる。この2つを前提にしないと成立しないストーリーってダメだろう。

さっき話したがAmazonビデオで期間限定の96円セールをやっていて以下の3本はそれ。「恐怖ノ黒○○」シリーズが3本。ただ、3本とも原題は違っていて作られた国さえ違う。たぶんシネマカリテやヒューマントラストシネマが年に一回、配給先が決まらない映画を20本くらい集め日替わりで上映するイベントをやっている。たぶんそこで上映されたやつだな。

   f:id:M14:20191124145406j:plain 96円

昔、少年がボイラー室に閉じ込められて焼け死ぬ事件があった建物。そこにドライブ旅行をしている若者たちが宿泊するという絵に描いたような設定。この時点で何が起こるか、犯人は誰かまでわかってしまうよね。「13日の金曜日」の一作目パターンだろ。仲間がどんどん減っていることに誰も気がつかないのもパターン。ただこの映画、女の子の脱ぎっぷりが無駄に良い。主役の女の子はいつ脱ぐのかと期待していたが無しかよ。それがあったら960円だったのに残念。ただこの映画、時間が1時間ちょいなので展開がスピーディー。私が酷評した秋元の映画も1時間にまとめればそれなりに見られたのかもしれない。

 

   f:id:M14:20191124145359j:plain 960円

古いアパートに引っ越してきた主人公、部屋にあった黒電話にまちがい電話がかかってくる。同じ人から何度もかかってきて、どうも相手は20年前のこの部屋の住人だった...なんと時間SFものだよ。しかも切ない系ではなくて、過去の相手は主人公に殺意を持つようになる。過去対未来、圧倒的に過去の方が有利なことがこの映画を観てよくわかった。このアイデアは新しいので960円。

 

   f:id:M14:20191124145403j:plain 9.6円

「恐怖ノ黒」シリーズ3本目。なんだこりゃ。純度100%のオカルト映画。チョコレートのカカオ含有量が100%に近づくともやはお菓子ではなく薬になるように、オカルト映画の宗教色が濃くなり過ぎるとホラーではなく教条映画になるという。