秋のビデオまつり「ストロベリーショートケイクス」「泣き虫ピエロの結婚式」

      1,800円
デリヘル嬢とその店の受付、過食症イラストレーターとルームシェアをするOL、この2組4人の女性が主役。4人の青春群像劇、ではなくてみんなそれぞれ仕事や恋が思うように行かずどん詰まり状態で爽やかさなど微塵もない映画。それでも最後はハッピーエンド、ではなくて幸せになり損ねたり、元より不幸になったりしちゃう。しかも2組の女性は相手を理解して励まし合っているのではなく、相手の私生活や悩みはまったく知らなかったり、理解できないのかしようとしないのか、バラバラ。だが4人の描写がしっかりしており、全員に感情移入ができるので、もうちょっと頑張ってみなよとか、せっかく一緒にいるんだから相手に相談してみなよと思ってしまう。タイトルは「女の子はお誕生日になるとイチゴのショートケーキを食べるよね」とラストでセリフがある。その夢の時代をとうに過ぎて、否応なしに向き合わなければならない現実の苦しさ、自分の無力感がこのタイトルで表現されているのかな。ラストシーンはまったく面識のない2組がたまたま同じ海岸にいる。あるきっかけでイラストレータがデリヘル嬢の方に行くところで映画は終わり、ポスターはたぶんそこから15分後くらいの光景かな。淡々とした、それでもけっこう壮絶な日常が心に浸みる映画。


      1,000円
洞窟探検に出かけた6人の女性。落盤が起きて元のルートに戻れなくなり、出口を探さなければならない。ここまではよくある洞窟探検物のプロット。だが中盤から物語は意外な展開をする。それにしてもラストが悲惨すぎるだろ。彼女たちはなにも悪いことをしてないだろ。


      1,800円
主演は志田未来ちゃん。観に行きたかったんだけど単館上映だったので時間が合わなかったんだよね。ストーリーは好きになった男性が重い病気を持っていて最後は死ぬという、はっきり言って陳腐。だがそれでもこの映画が佳作だと思うのが、テンポの良い演出、北海道やハワイで撮影したわけではない町中の風景なのに映像がすごくきれい、そしてテレビドラマで脇役を演じているときと全然違う志田未来ちゃんの本気の演技。とくにラストシーン。北川景子の4分間まばたきをしないのもすごいが、志田未来ちゃんの40秒間の泣き笑い。
     
カメラはこの位置の固定で顔のアップ。本当に泣き笑いをしている人より上手な泣き笑い。彼女の女優としてのポテンシャルの高さをこの40秒間で見せられた。心が荒んだときにぜひ見て欲しい佳作である。