1月に読んだ本

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

江戸川乱歩の名作を題材にした短編集。といっても現代風に書き直したのではなく、同じテーマでさらに捻りを加えた物。人間椅子では中の人と会話をし、婦人が刺し殺すとそこには...


洗えば使える泥名言

洗えば使える泥名言

著者にかけられた言葉の中で、暴言だが人生の真実を突いている言葉。こういう話になったらこの人の独壇場。私が好きなのは「今日は天気が良いけん、今日逝かしちゃる」(もう死ぬしかない寝たきりの老人を放置して死なせる)、「そういう時はアメリカ大使館に逃げるんだ」(日本人でも日本大使館は助けてくれないがアメリカ大使館は助けてくれる)、「100万円貸してくれと言われたら10万円あげなさい」(他人から金を借りるような人はどうせ返さないから気持ちよく10万円をあげた方がお互いに良い)。書き切れないから興味がある人は読んでみて。


白衣の嘘

白衣の嘘

警察小説の名作短編集を連発している著者が、今度は医療をテーマにした短編。あいかわらず巧いが、みんなから信頼されている名医が過去に犯した犯罪というのがいくつかあって胸が痛い。


カバーは軽いが中身はがっつり思い。マズローの心理学では第4段階、本来は高次の欲求であるはずの承認欲求が手前に来てしまう。しかも自分では自分を承認できない。そのあたりを出発点にキャラ化、現代型うつ病を解いていく。けっこう難しい本だよ。なんであんなカバーにした?


著者初のショートショート短編集。先月だったか、この作者は短編の作法をしらないのではないかという感想を書いた本があったが、こちらはどれも上手。話はホラー、SFなど多岐に渡るが、ショートショートの命であるオチが冴えている。


死刑でいいです―孤立が生んだ二つの殺人 (新潮文庫)

死刑でいいです―孤立が生んだ二つの殺人 (新潮文庫)

私は覚えてないのだが、母親を殺して少年院に入っていた少年が、出院した2年後に見ず知らずの姉妹を惨殺して死刑。新聞記事だけ読むと「そら見たことか、だから最初に死刑にしておくべきだったんだ。やはり少年犯罪の厳罰化が必要だ」と思うが、そもそもこの少年は心に障害があって一人で社会生活を送れなかった。少年院側も一人にしてはいけないとわかっていながら期限が来たら出院させざるを得ないし、そのような人をケアする体制が整っていない。難しい問題だ。


現代を読み解くための「世界史」講義

現代を読み解くための「世界史」講義

現代のいろいろな問題を、世界史上のエピソードから解決策を探るエッセイ集。読みやすいが内容も軽かった。


恐怖小説 キリカ

恐怖小説 キリカ

イデアは面白いが、小説全体とするとなんだかなあ。今後に期待する。


売れっ子作家の「時」をテーマにしたアンソロジー。てっきりタイムマシンものかと思ったら違った。4人の作家が書いているが最初の辻村深月が3分の1くらいあって、とにかく巧い巧い。薄い本なので小旅行のお供にお勧め。