1月に読んだ本

黒塗怪談 笑う裂傷女 (竹書房 恐怖文庫)

黒塗怪談 笑う裂傷女 (竹書房 恐怖文庫)

実話系ホラー小説集。今年になって初めて読破した本がこれというのも情けない


未知との遭遇―無限のセカイと有限のワタシ

未知との遭遇―無限のセカイと有限のワタシ

有名な映画とは無関係。日本のサブカルチャーの変遷を通して読み解く我々とセカイのつながり。「マニア」の中から飛び出た「おたく」。インターネットの出現によって「おたく」から「オタク」へ。「おたく」が市民権を得た現代において逆に「おたく」と一線を画す「サブカル」。これはおもしろい。この分類によると「テツ」と呼ばれる鉄道オタクはどんなに傾注しようがオタクではなくてマニアなのだ。


PLAY プレイ (講談社文庫)

PLAY プレイ (講談社文庫)

遊びに没頭しすぎた人たちが起こす事件、起こる事件を描く短編集。それぞれ先が読めない展開とひねりの利いたラスト。


倫理問題に回答する――応用倫理学の現場――

倫理問題に回答する――応用倫理学の現場――

カニシヤ出版なんて初めて見たよ。日常に起こる問題を応用倫理学の立場から回答する。このジャンルは何冊も名著があるのでそれ以上ではなかった。「人と議論するのが苦手」という人は、加藤尚武氏や小浜逸郎氏の著作を勧める。


神のロジック 人間(ひと)のマジック (文春文庫)

神のロジック 人間(ひと)のマジック (文春文庫)

人里離れた施設で暮らす少年少女。毎日、授業を受けてまずい食事を食べている。彼らは両親と別れたときの記憶が全員ない。自分たちはなぜここにいるのか、ここは何の施設なのか。新入生が入ると起こる不思議な現象、そして殺人。なかなか魅力的な設定だろう。私は映画「マトリックス」のような仮想現実物だと思ってしまったよ。とんでもないラストが待っている。後味の悪さがハンパない。


アナロジー思考

アナロジー思考

アナロジーとは類推。物事は抽象化して類推で考えましょうと。イマイチだったよ


怪談実話系 6 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

怪談実話系 6 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

ずっと読んでいるシリーズ。著者の充実ぶりがすごい。


殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

佳作だと思うのだが、新人の作家でよくあるパターン、クライマックスになると著者の筆が追いつかなくなり迫力が伝わらない。今後に期待だ。


奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

ひさしぶりに出た「館」シリーズ。吹雪の山荘パターン(外界と閉ざされているので犯人は内部の人間)でありながら、殺人はたった1回。その1回の殺人を探偵役が論理と証拠を積み上げて解明する。けっこう厚い本なのに最後まで飽きさせないのはさすが新本格の雄。館シリーズをもう1回、読み直そうかな。


世界が愛した日本

世界が愛した日本

トルコとかポーランドとかインドネシアとか親日的な国があって、日本人はその国がなんで親日的なのかを知らない。教科書には載ってない(向こうの教科書には載ってたりする)日本と外国の友好史。こういう話は授業で子どもたちに教えて欲しい。


春から夏、やがて冬

春から夏、やがて冬

帯に「ラスト5ページで天地がひっくり返る」ような文句。この作者は「葉桜の季節に君を想うということ」というそれこそ驚愕のラストの小説があるので、この本のコピーは大げさ。むしろ途中まで大きな出来事もないのに読者の興味をそらさない作者の筆力こそ賞賛されるべきだろう。