5月に読んだ本

にじんだ星をかぞえて (朝日文庫)

にじんだ星をかぞえて (朝日文庫)

この人の本が好きなんだけど寡作なんだよね。収集の方法は知らないが普通の人の人生の中にあったちょっとしたドラマを元にした短編集。ドキュメンタリーといえばそうなんだけど、新聞や週刊誌に載っている無機質なものではなく、文学の次元まで昇華させているのが作者。寝る前に布団の中で読むのにちょうどよい。


社会は絶えず夢を見ている

社会は絶えず夢を見ている

評論集なんだけど内容をすっかり忘れちまったぜい


ふたり狂い (ハヤカワ文庫JA)

ふたり狂い (ハヤカワ文庫JA)

数ヶ月前に紹介した「殺人鬼フジ子の衝動」の作者。前作はなんかまとまりがなくてラストの盛り上げ方も下手だなあと思ったのだが、本作はなかなかのお勧め。基本は短編集だが、それぞれが微妙につながっている。作者は短編の人なのだろうか。


身代わり

身代わり

ワゴンで300円だったので買ってみた。シリーズ物の何作目からしいが、レギュラーの登場人物のキャラ設定がわからなくて視点が定まらない。どの人が主人公かわからないまま事件が解決しちゃったよ。


家日和 (集英社文庫)

家日和 (集英社文庫)

ひさしぶりの奥田英朗。家庭をテーマにした短編集。あいかわらずうまい。たとえば奥さんが自分の家財道具(家にあるものほとんど)を持って出て行ってしまい、ガランとしたマンションに残された主人公。家具をそろえるために休日のたびに店を回って買い物をする。事件があるわけでなく、意外な出会いがあるわけでなく、ひたすら買い物。それだけの話でグイグイ読ませる。


レヴィ‐ストロース (FOR BEGINNERSシリーズ)

レヴィ‐ストロース (FOR BEGINNERSシリーズ)

レヴィ・ストロースのイラストと写真が満載の入門書。活字だけ拾い出したら原稿用紙10枚くらいじゃないかな。


殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫)

殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫)

ワゴンで200円くらいだったかな。基本的にこのシリーズは好きではないのだよ。テレビで篠原涼子が演じたらしいのでさらに嫌いになった。だったら買うなよ、読むなよと我ながら思う。


言壺 (ハヤカワ文庫JA)

言壺 (ハヤカワ文庫JA)

短編集だが、一言でいうと「言語SF」というすごいジャンル。そんなに難しい話ではなくて軽く読める。言語とは思考なのだなあとつくづく思う。


マスカレード・ホテル

マスカレード・ホテル

タイトルにひかれてずっと読みたかった。古本屋で1000円を割るのを待ってたのだよ。連続殺人犯のつぎの殺人予告があったホテルで、従業員に扮装した刑事が長期間に渡って潜入捜査をする。主人公はフロント係になった刑事と、その教育係の女性。メインストリームはけっこう少なくて、途中で石ノ森章太郎の「ホテル」的なエピソードがいくつも挟まっている。ベストセラー作家の筆者なので及第点以上には楽しめるのだが、それだけなんだよなあ。