6月に読んだ本

東大教養学部の各分野の研究者が物理・化学・宇宙・社会学・哲学などいろいろな見地から「個性」について解説するもの。現代の研究者という人たちはどういうことを研究していて、なにがわかっていて、なにがわからないのか、手っ取り早く知ることができるなかなかの好著。中高生にも読んで欲しい。どの学問の見地からも「個性とは作るものではなく、伸ばすものでもない」は共通している。そりゃそうだ。


リバース

リバース

ブログで月1回の感想文を始めたころがデビューだったっけ。「この人は佳作と駄作が交互に来る」と以前に書いたように思うが、最近は外れがない。話が複雑でめんどくさいから書かないが(実はよく覚えていない)、脅迫文を送った人の動機がいまいち納得できなかったような気がした。


国語力

国語力

齋藤孝やくみつるの日本語についての対談集。期待した内容とちょっと違っていて残念だったが、この本で声優が朗読する日本文学の存在を知ったから良しとする。


本屋さんのダイアナ

本屋さんのダイアナ

私はこんな本を読まないのになんとなく買ってしまった。面白いじゃないか。小学校で出会った二人の少女。まったく正反対の二人だが、それぞれ自分がコンプレックスを感じているところが、相手には魅力的に見える。無二の親友になったのにある出来事がきっかけで絶交してしまう。高校を卒業した二人それぞれにつらい運命が待っている。読者だけはわかる。もしこの二人がいまでも親友だったら切り抜けられたはずだったのにと。


ラプラスの魔女

ラプラスの魔女

もうタイトルを見ただけでどういう話かわかってしまった。読んでみたらそのとおりだった。これのメインのアイデアって数年前にスマッシュヒットした海外の小説と同じなんだよな。でもそれだけでパクリだとか言う人はミステリーの読者にはいないんだ。だから「モップガール」のDVDボックスを出してくれよ。いまなら「北川景子の初の主演ドラマ。毎回コスプレあり」で大ヒットするよ。


マインド

マインド

これはシリーズ物らしいのだが、主人公のキャラが薄すぎて読み終わるまでとてもそうとは思えなかった。途中でトリックがわかるが、まさかそれを使わないよなと思ったらそれだった。


「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

日本の特派員になったイギリス人から見た日本。最近テレビでよくある「ニッポンスゴイデスネー」とは一線を画す深い洞察が面白い。この人の意見は「日本語は話すだけならヨーロッパの言語と比較するとむしろ簡単。敬語もいくつかの注意点を覚えるだけで使える」とのこと。私も大学でドイツ語をちょっとやったり、沢井美優といっしょにフランス語を勉強して同じ意見なんだ。あと「イギリスへのお土産に日本茶とおせんべいはNG」だそうだ。イギリスの伝統の紅茶とクッキーにかぶるので、おいしいまずい以前の問題として受け入れられないと。なるほど。


復讐の唄

復讐の唄

たぶん軽すぎる話だろうなとは思ったのだが、BOOKOFFで500円だったからいいかなと買ったら、500円以上に軽かったよ。お勧めしません。


紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

「育ててくれてありがとう」「全米が泣いた」「国益を損なうことになる」などよく使われる言い回しに対する考察を元に現代社会の問題点を述べた本。Amazonの解説でいろいろな人の賛辞が書いてあるのだが、たしかに新鮮な切り口はあったし、新しい気づきや視点はもらった。だが、それらを批判する著者がイメージする世のあり方がさっぱり見えない。なので途中で飽きてくる。レビューでもみんな絶賛しているのだが、みんなこれで満足なの?


きっと、夢にみる 競作集 <怪談実話系> (角川文庫)

きっと、夢にみる 競作集 <怪談実話系> (角川文庫)

井上雅彦編集の異形コレクションが終わってしまって寂しく思っていたら、東雅夫編集のホラーコレクションが角川文庫から出ていたよ。なかなか良い作家を集めていて、それぞれが文芸作品としての完成度が高い。いまのところ3巻出ている。これは楽しみ。