2月に読んだ本

身代わり島 (朝日文庫)

身代わり島 (朝日文庫)

異端のミステリー作家である作者にはめずらしく正統派のミステリ。残念ながら読後感も並だった。


古典的な問題からSF映画的な設定まで思考実験の紹介とそれの考察。答えを出すことが目的ではなくて、この問題はこういうアプローチで考えられるという本なのでかなりの駆け足。興味を持った人は参考文献の本を読んでね、という入門書。


本質思考: MIT式課題設定&問題解決

本質思考: MIT式課題設定&問題解決

どんな本だったかぜんぜん思い出せなくてアマゾンのレビューを読んだらみんなほめているのだが私はぜんぜん思い出せない。少なくとも書店で手にとってパラパラと見てレジに持って行ったわけだから私の鑑識眼には引っかかったはずだが何も覚えてないとは。レビューを読むと自分の脳が不安になった。


論理のスキルアップ―実践クリティカル・リーズニング入門

論理のスキルアップ―実践クリティカル・リーズニング入門

これは良書だと思う。他人が書いたものを読んで「?」と思うことがあるでしょ。この人が前提にしていることって前提にしていいだけのコンセンサスが取れていることか? 根拠と結論が書いてあるけど、この結論に対してこの根拠はずれてないか?とか。他人が書いた論評を分析して整合性を検討し結論なり主張が論理的であるかどうかの批評をする方法を豊富な例題で説明したのが本書。練習問題がたくさんあり、巻末に丁寧な解説が付いている。と、いままでになかった本なのだが...日本語訳がクソすぎる。なんだこれは。原著を書いた人は「オレの本を変な日本語にするんじゃねえ」と訴訟をしたら勝てるレベル。別な訳者でもう一度読みたい。


絶叫

絶叫

ひとり暮らしの女性の半ば白骨化した死体が発見される。その女性を調べる刑事は現在から過去へ、誰かの視点で語られる女性が生まれてからの生い立ちは過去から現在へ、その女性とどう関係してくるのかわからない関係者の証言が随所に挟まれ、3つのエピソードがその女性の最後の時に向かって収束してくる。この手法は過去にあったし、それぞれのエピソードも目新しいものでは無いのだが、この作者の語りが上手。コミックの原作や児童文学出身の人らしいがすごい人がいるものだ。


最後の証人 (宝島社文庫)

最後の証人 (宝島社文庫)

私は見なかったけどテレビドラマにもなったのかな。3分の1くらいで物語の構造が明らかになって、これは最後まで引っ張った方がいいんじゃないの?と思ったらミスディレクションだった。いろいろ無理なところはあるが、力ずくでこのプロットを完成させようという作者の心意気に一票を入れたい。


殺意の構図 探偵の依頼人

殺意の構図 探偵の依頼人

この作者、最近の私は出たらすぐに買う人の一人だな。ある事件を章ごとに別の人が語る。ある章の語り手が最後に怪しいと言った人が、次の章の語り手になる。つまり犯人ではないわけだ。これは面白い構成。ミステリー界は女性の活躍がめざましい