6月に読んだ本

6月は不作だった。お勧めしたい本が無し。

切り裂きジャックの告白

切り裂きジャックの告白

トリッキーな作品を発表し続ける作者。これもラストの度重なるどんでん返し、意外な犯人と、ネタ的には一級なのだが、最後に明かされる犯人の動機に無理があり「うーん、やられた!」という爽快感が無いのが残念。これなら狂気の故の犯行にしたほうが読者は逆に納得できるような。


他人事 (集英社文庫)

他人事 (集英社文庫)

あいかわらずドロドロのストーリーだが、ぶっ飛び方が過去の作品に比べると不満。


屍者の帝国

屍者の帝国

日本のSF史に残る傑作を出しながら夭折した伊藤計劃がプロローグだけ書いた未完の作品を芥川賞作家である著者が完成させた日本版サイバーパンクフランケンシュタイン、ヴァンヘルシング、ワトソン、その他歴史上の人物が入り乱れてアフガニスタン、日本、アメリカと舞台が移る。人間そっくりのアンドロイドの代わりに屍者を蘇らせて人間の道具として使うという発想はなかなか。面白いのだが、共著という形をとっているために、伊藤計劃ならこういうテイストではなかったのではないかと残念さを読者が感じてしまい、著者には気の毒。


著者の着眼点や主張は賛成するが、それを国際競争力というレベルまでスケールアップするにはどうすればいいかが語られていないように思う。私の読み方が悪いだけかもしれないが。


the TEAM ザ・チーム (集英社文庫)

the TEAM ザ・チーム (集英社文庫)

相談者の悩みを解決するテレビ番組を持っている盲目の女性霊感師。相談者の身の上を百発百中で言い当てることができる。彼女には相談者のことを事前に調査するチームがあった。って、これなんかで見たぞ。これだ*1。里奈ちゃんが出演したドラマの原作は別にあって、私が読んだこの小説のが書かれたのは前。だが過去の作品のプロットを再利用するのはミステリーでは禁じ手ではない。なにより石原さとみはかわいいから許される。


論理病をなおす!―処方箋としての詭弁 (ちくま新書)

論理病をなおす!―処方箋としての詭弁 (ちくま新書)

「詭弁」の種類とその論破のしかたの本。物事を論理的に考えようとする人こそ詭弁に引っかかると。なるほど、たしかにそうだ。


角川の雑誌に掲載されたミステリーのアンソロジー新潮文庫からも同じような本が出ているが新潮の勝ち。


統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

めずらしくベストセラーの本を読んだよ。ベストセラーになるだけあって...軽い!