ハリウッド俳句

先日、会社の帰りに「アンストッパブル」を見に行ったよ。無人の機関車が暴走するやつ。そんなに話題になった映画ではないが、この2、3年に見たアメリカのアクション映画ではこれがいちばんおもしろかった。やはりCGは麻薬だと思う。たしかにアバターなどは我々が見たことがない世界をスクリーンに具現化する。だが、その世界を我々は映像と音だけでしか認識できない。「アンストッパブル」の機関車は、スクリーンの映像と音によって、私の記憶にある振動、空気の流れ、匂い、日差しがどんどん励起されて来る。観客の記憶を借景としてスクリーンの機関車が疾走するわけだ。また、この映画は実に丁寧に作られている。猛スピードで走る機関車を、あるときは正面から上に視線が回り込み、あるときは併走するヘリコプターと並んで視点が移動する。CGなら視点をどのように変えようと自由自在だが、実写でこれをやるにはほんの数秒のシーンを大型クレーンやヘリコプターで一つ一つ撮影しているのがわかる。
とは言ってもストーリーが無いんだよな。最近のハリウッド映画、とくにアクション映画のストーリーの無さは尋常でない。脚本を書ける人はいないとは思えないのだが。もうあらすじを書くのに原稿用紙なんかいらない。俳句の17文字でメインストーリーを書き尽くせる。というわけで*1、この1年くらいの映画の俳句を作ってみた。ほんと、これ以上の内容はないから。

  1.青い人 みんなで守る 森の家


  2.弾よりも 早く走れる ナノスーツ


  3.生まれ出た ときから生えてた 長い爪


  4.引っ越せば 怖い目には 会わぬのに


  5.続編が 作れるラスト これもまた


  6.2作目は CG進化し 筋(すじ)退化


  7.続編と 思える根拠は 題だけに


  8.暴れ者 だったらなんでも 収まれり


  9.幽霊も 怪物もなしに 怖ろしや


  10.当てにした 私が馬鹿だ アカデミー賞


  (日本映画編)


  11.藤原は なんの役でも 藤原だ


  12.藤原は どの役やっても 藤原だ

これだけでなんの映画かわかっただろう。そして、これ以上のストーリーが無いことも*2。11と12はどっちがどっちかが少し悩むかな。いちおうタイトルを付けておく。

  1.アバター


  2.G.I.ジョー


  3.Xメン ZERO


  4.パラノーマル・アクティビティ


  5.SAW Final


  6.トロン レジェンド


  7.ターミネーター4


  8.プレデターズ


  9.ザ・フォース・カインド


  10.ハート・ロッカー


  11.カイジ


  12.インシミテル

とくに10番はひどかったよ。なんでこれがアカデミー賞なの? これ以外で見たのって北川景子の映画ばかりだが、この12本に比べればそんなに悪い出来ではないんだよね。だから北川景子は自信を持つのだ。「花のあと」も「死刑台のエレベーター」も良かったぞ。君は輝いてた。あ、DVD買っただけで見てねえや

*1:どういうわけだよ

*2:そうでもないだろ