きょうは国文法の時間だ!

会社でメールを書いている途中で思った。わかりやすい例をあげる。

  亜美が好きなネフ

文章にはなってない、修飾語が付いている名詞である。さて、ここで問題。亜美がネフを好きなのでしょうか、ネフが亜美を好きなのでしょうか? ふつうに考えると亜美がネフのことを好きと解釈できるが

  亜美のことが好きなのはネフ ・・・(2)

と解釈すれば、まったく逆の意味になる。書くまでもないが、もう一つの解釈は

  亜美が好きな人はネフ ・・・(1)

だ。この文節だけではどっちがどっちを好きなのかわからず、文脈から類推するしかない。(1)では亜美が主格になり、(2)では亜美が目的格になる。この両方の解釈ができてしまうのは助詞「が」がくせ者だからだ。
有名な文なのでご存じの方もいると思うが、つぎの文の主語はなんでしょうか?

  象は鼻が長い

小中学校の国文法では「は」か「が」が付いているのが主語、と習ったと思う。ところがこの文は「は」と「が」が両方付いている。では、この文の主語は「象」か「鼻」か。より主体的に行動する方を主語にしたくなるので「象」と思われがちだが、これは「鼻」の方である。こう考えるとわかると思う。

  ・鼻が長い

   (なんの鼻が長いのか?)

  ・いわゆる象という動物は、鼻が長い

ただし、この例文はここから「日本語にはそもそも英語のような主語なんかない」と展開するための出発点になる。日本語は述語だけで文が完結できる。

  ・長い

  ・鼻が長い

  ・象は長い

どれも文として成立しており、意味が通るかどうかは文脈によるのであって、この文の構成要素としての過不足と関係ない。すると「が」と「は」を交換してもよいのである。

  ・(チ○チ○は小さいけど)鼻は長い

  ・(イヌでもなくネコでもなく)象が長い

ここで元の文に戻るが、「亜美が」の「が」が主格にもなり目的格にもなると書いたが、日本語に主語が無いなら目的格だってないのだ。この「が」は

  (1) レイでもなくうさぎでもなく亜美が好きな人はネフ

  (2) レイでもなくうさぎでもなく亜美のことが好きな人はネフ

ここまで書いたところで、ここまでの文章は単に「が」の説明であって、最初の例文が両方の解釈ができることから助詞「が」の秘密に迫ることができてないのがわかったよ。だって私は工学部だもん*1

*1:だったら書くなよ