もう背だって大きいでしょ

新年早々、メンタル面でヤバくなった私だが*1、持つべきものは友である。その人、10年くらい前に取引があった会社の人で私と同じ年。仕事の関係はなくなった後も、定期的に会って雑談をするまさに茶飲み友だち。不思議とウマが合う。彼の事業部は比較的に順調だったが本業の不振から依頼退職になり、その後はけっこう流浪の人生。奥さんと赤ちゃんがいる。いろんな会社に面接に行くのだが、

  「△さん、あなたなら是非うちの会社に来て欲しいのだが、その髪はなんとかなりませんか?」

  「これは私のポリシーなので切れません」

そう、彼は髪を背中の半分くらいまで伸ばしして後ろで一つに結んでいる。その手の業界なら許されるだろうが、彼の志望はIT関係や電子機器関係の営業職である。短期の契約社員とか友人の仕事を手伝ったりして生計をつなぐ。私から見るとめちゃめちゃ不安だが、彼はいつも明るい。調子がいいときに明るいのは誰でもできるが、どう見てもそうでないときにも明るい人を私は尊敬する。それは強さである。生きる強さであり、未来に希望をつなぐ意志の強さである。
一時、お互いの電話番号が変わったりメールのアドレスをなくしたりでお互いに連絡が付けられなくなった。そんな彼とあることから11月に連絡が付いた。一時、どこかの会社に勤めていたが、いまは家でインターネット関係の仕事をしてるらしい。ネットビジネスは儲からない。だが親子3人が食っていくだけならけっこう道はあるのだ。毎月、月例会をしましょうねと言って別れたが12月はお互いに忙しくて時間が取れなかった。このブログを書いた翌日くらいに彼から連絡があり、

  △「M14さん、Oって覚えてます?以前、私と同じ会社だった」

  私「ええ、覚えてますよ」

  △「彼ね、一時体調を壊して自宅療養をしてたんですが11月に再就職したんですよ。そのお祝いをしようと思って」

この人も私と同じで酒を飲まないので昼飯を一緒に食うだけらしいが、私はどうしても昼は抜けられなくて3時ごろに某所で待ち合わせた。彼とOさんが待っていた。彼が笑いながら

  △「M14さん、Oは今朝クビになったそうです」

Oさんはドヨーンと落ち込んでいるが、彼はクビの1回や2回どうってことないよと明るい。それはそれでどうなんだろう。喫茶店に入って談笑。Oさんが気になるが、かける言葉もない。ふつうにふるまえと△さんの無言のメッセージを感じるのでいつものようにヲタ話。

  私「私は娘がもう大学に入ったでしょ。もう父親の義務は果たしたから今年から好きなように生きようと思って」

  △「そりゃそうですよ、健康のうちに好きなことをしなくっちゃ」

  私「去年は名古屋までモデルのトークショーに行ったし、夏は多岐川華子の握手会に行きました」

ここは笑うところだと思ってた。

  △「多岐川華子って、多岐川美優の娘の?」

  私「そうです。知ってます?」

  △「知ってますよ。多岐川裕美の娘でしょ、多岐川裕美の娘なら応援しないでどうしますか」

なんだよ、なんで食いついてくるんだよ。しかも怒られた。しまった、この年代の男性には多岐川裕美は絶大なブランド力があるのだった。話は変わって

  私「女の子も小学生の上級生になるとだんだん父親と距離を置くようになりますよね」

  △「そうですか?私はまだ娘とお風呂に入ってますよ」

  私「ちょっと待ってください。△さんのお嬢さんって小学校6年生ですよね」

  △「そうですよ」

  私「もう背だって大きいでしょ」

  △「ええ、うちの娘はおっきくてもう私くらいあります」

  私「それってお互いにつらくないですか」

  △「なんでですか?」

とこんな話をしているうちに、すっかり元気になっている自分を発見した。Oさんは最後まで暗かった。無理もない