検証・これが実写版の台本だ!−act46(その5)

「うさぎ問題」について、もう少し後ろの場面も見てみよう。写真の左半分、シーン35で病院から出てきたなるをうさぎが出迎えるシーンである。画像が欠けてしまったが、なるのセリフ

     「うさぎが助けてくれたんでしょ。信用していた通り」

の次からである。このなるの言葉に対してうさぎはお礼を言う。「信用する」いまのうさぎの心をこの言葉ほど強く揺さぶるものはない。自分が助けたなるにお礼を言わなければならないほど、うさぎは友達の信頼に飢えているのだろう。と、実は放送を見たときは思わなかったのだが。最後にうさぎが目を伏せる。これは単に照れくさかったのか、なるを救った戦いに自分が呼ばれてないことに対する複雑な思いを表わすのか放送時はわからなかった。だが台本を読んだいまならわかる。後者だ。
以前にわざわざ3回に渡って書いたとおり*1、大阪なるは本当にいい子だ。実写版の登場人物で友達にするなら、男なら亀吉、女なら断然に大阪なるである。レイたちから見ると決してうさぎを阻害したかったわけではないのだが、うさぎから見るとどうしてもみんなに避けられているように思えてしまう。そんな自分に依然と変わらぬ信頼と友情を注いでくれるのは大阪なるなのである。なるを元に戻すことに対して、うさぎの必死さが描かれていると終盤の印象はヒーロー物としてもう少し違ったものになったのではないかな。
放送ではもう一カ所、うさぎが複雑な表情をするところがある。5人の複合技で妖魔を倒した後。喜び合う4人に対して、ここでもうさぎは蚊帳の外。寂しそうな笑顔を浮かべる。だが、このシーンについて台本ではとくに言及がない。それともジュピターの雄叫びに対して「微笑を浮かべる」、つまり微笑程度しか浮かばないのがすでに寂しいという解釈なのか。だが、放送のあの演出は見事である。演出なのか、沢井美優の機転なのかはわからないが。
ところで、文中に「M妖魔2」とあるが、「M妖魔」はメタリア妖魔、番号は変形の順番である。この前のシーンで、セーラーヴィーナスの攻撃によりM妖魔3は、M妖魔2になっている。
(つづく)