CURE−誰か教えて!−

またまた映画の話である。私はホラー映画が好きでけっこう見た。気持ち悪い映画はある。驚かされる映画もある。だが、怖い映画となると意外に少ない。「死霊のはらわた」や「ゾンビ」など欧米のスプラッタムービーは気持ち悪いが怖くはない。冷静に見れば滑稽でさえある。「13日の金曜日」や「ラストサマー」などの殺人鬼ものは突然に物陰から殺人鬼が出てきてびっくりするが怖くはない。「リング」は小説を先に読んでしまったので怖さが半減した。「呪怨」は外国の屋敷物ホラーが、狭い日本の家屋でも成立することを示した点は賞賛に値するが、ショートムービーのつなぎ合わせで全体を流れる物語が弱いので、カタストロフィに向かって転げ落ちていく喪失感が無い。
私がいちばん怖かった映画は黒沢清監督、役所広司主演の「CURE」だ。幽霊が出るわけではない。臓物をぶちまけるわけではない。なのに怖いのだ。どこが怖かったと聞かれると、うまく説明できない。以前に「未知の怖さ」*1の話をしたが、この映画はまさにそれ。幽霊やスプラッター物が嫌いという人は、逆にこれは大丈夫なのではないか。怖さの質が他のホラー映画とはまったく違うのだ。クロスファイアとともにぜひご覧あれ。
ところでこの映画、困ったことが一つある。ラストの意味がまったくわからないのだ。もしご覧になった方がいたら教えてほしい。最後のレストランのシーンで、カメラがウェイトレスの背中を追いかける。あれは何の意味があるのだ。主人公とあのウェイトレスはどういう関係なのだ。

*1:8月27日「夏休みDVDまつり(その3)」参照