戦士の家族(後編)

昨日は、ヒーローにはオールタイムヒーローとパートタイムヒーローがいることを述べた。*1ここで以前に書いた攻撃型ヒーロー/迎撃型ヒーローと組み合わせてみよう。
(オールタイム+攻撃型)普通である。なにしろ職業軍人だからいつも戦ってくれないと困る。デカレンジャー大岡越前も国民の血税で給料がでている。きっと恩給だってサラリーマンの年金より多そうだ。攻撃型でいるためには、どこに悪がいるか情報収集が必要になる。その点、デカレンジャーは警察、大岡越前は裁判官なので問題ない。アンパンマンはパトロールが必要だ。でも生活圏が狭そうだから彼の飛行速度でも大丈夫。鬼太郎は妖怪ポストやカラスが情報源だ。
(オールタイム+迎撃型)これはあり得るのか?いつもヒーローでいながら、自分からは敵を求めない。私は思いつかなかったが、どなたかご存じなら教えてください。サンダーバードはこれに近そうに見えるが、遠洋の孤島にいる点でパートタイム、依頼があればどこにでも必ず行くので攻撃型である。ゴルゴ13も同様。
(パートタイム+攻撃型)これはキツい。会社や学校に行きながら敵と戦う。有給なんか限度いっぱいまで取っているに違いない。スーパーマンスパイダーマンなどアメリカンヒーローはほとんどがこのパターンだ。しかも怪獣だけと戦うウルトラマンと違って世の中のすべての悪と戦っている。リアリティを要求される日本のアニメや特撮には用いられない設定である。もう一つの問題点は情報収集能力だ。敵がどこに現われたかを即座に知らなければならないが、職業軍人や政府関係者以外では難しい。そこに説得力を持たせるためにスーパーマンスパイダーマンはマスコミ関係、ウルトラマンは変身前が職業軍人という設定になっている。*2
(パートタイム+迎撃型)まさにセーラームーンである。目の前に妖魔が現われたときだけ戦えばよいから、学業も優先できるし、塾にも行ける。だが戦いが続くと塾に行けなくなってお母さんに叱られる*3水戸黄門もこのパターンである。
さて、パートタイムヒーローは正体を隠す必要がある。正体が明らかになってはもはやパートタイムでいられない。そのパートタイムヒーローの一番の敵は、実は家族である。成人なら「ちょっと残業で」とか「急な出張で」とか言い訳ができるが、*4未成年の場合は難しい。父親が科学者で、その父親の発明で子供がヒーローに変身するなら問題ない。ところが家族を関係者で無い設定にするには家族がいない方が都合がよいのである。
その点、火野レイ木野まことは問題ない。母親とすれ違いの水野亜美もかなり自由である。芸能人の愛野美奈子もドタキャンやすっぽかしをすればだいじょうぶそうだ*5。なにしろ延々とホテル暮らしを続けていた。あとは月野うさぎのアリバイさえみんなで作ってあげればなんとかなるのだ。セーラー戦士の家族構成から社会問題を論じた人には叱られそうだが、ヒーロー論の点でセーラー戦士は理想的な家族構成つうか一人暮らしと鍵っ子なのだ。
なお、いまから40年近く前にこの問題に気づき、コピーロボット*6を考えた藤子不二雄の想像力!まさに日本マンガ界の巨人である。

*1:「戦士の家族」から外れているぞ

*2:見てないんですがウルトラマンネクサスは違うんですよね

*3:act33

*4:浮気と同じだ

*5:もちろん芸能生命には重大なインパクトを与えるが

*6:パーマンが出動のあいだ、代わりに生活してくれるロボット