セーラージュピター「木野まことの栄光」(後編)

単独メイン回は圧倒的に少ないにもかかわらず、妙に木野まことの印象が強いのはなぜだろう。act21のように共演関係にあるダブルメイン回を調べてみよう。

    単独+ダブルメイン回(act1〜act49)(注 ()内はダブルメイン回)

     レイ・・・11回(act3,4,8,10,(17),(18),23,(33),(34),(40),(49) )

     亜美・・・ 9回(act2,5,14,16,21,28,(33),(34),(49) )

     まこと・・ 8回(act6,(8),(21),31,(41),(45),(46),(49) )

     美奈子・・10回(act11,12,17,18,30,35,(40),(45),46,47)

4人が1回の差で並んでいる。亜美メイン回はact2、act5、14、21、28など田崎監督、舞原監督の名作回が多いので印象が強いが、実際の出番はそれほどでもないのだ。逆に出番が少ないように感じる美奈子は単独メイン回が多い看板役者なのだ。4人の回数を比べてみると、主人公月野うさぎを語るだけでなく、4人に均等にスポットを当てようとした小林靖子の配慮が、この数でわかると思う。
ここでact11を思い出して欲しい。愛野美奈子の病院にうさぎが行く回だが、うさぎに付き添ったのはまことである。同じようにact26でも空港にまことが付き添っている。このように物語のテーマには関係ないが、物語の進行に欠かせない役割を担い画面への露出が多い回がある。この助演回を数えてみた。

    助演回(act1〜act49)

     レイ・・・2回(act16,47)

     亜美・・・1回(act9)

     まこと・・4回(act11,20,24,26)

     美奈子・・0回

まことは4回もあるのだ。これを加えると

    メイン回+助演回(act1〜act49)

     レイ・・・13回

     亜美・・・10回

     まこと・・12回

     美奈子・・10回

どうだろう、この回数が番組終了後の印象ではないだろうか。「火野レイの逆襲」で語ったように実写版がレイにフューチャーされていることがわかるが、次に出番が多いのはまことである。そう、木野まことは実写版での重要な脇役なのだ。アニメではうさぎ以外の4人が脇役だったが、レイ・亜美・美奈子それぞれの物語が語られている実写版では、まことは脇役ができる唯一のキャラクターなのだ。
空港にレイが付いてきたらウザい。美奈子のお見舞いに亜美が来ては一緒にサインをもらってくれない。*1父親と対立するレイにうさぎが一緒では台車ごと父親のテーブルに突っ込みかねない。ダーク化した亜美のわがままを美奈子では聞いてくれない。*2
そう、まことはとことん「いい奴」なのだ。誰にも「いい奴」でいるためには本人が重たいドラマを抱えていてはいけない。まことにメイン回は似合わないのである。こんな結論でいいのか?結局まことは報われないってことか?だからSpecialActのラストでちゃんと帳尻を合わせているではないか。

*1:いや、亜美が恥ずかしそうに色紙を差し出すシーンも見たかったが

*2:蹴られそうである。「勢いよ!」