検証・これが実写版の台本だ!−act46(その1)

おかげさまでact44、45、46の台本3冊セットをヤフオクで競り落とした。過去の例からしてイベントが盛りだくさんの回は台本を見ないとわからないカットシーンが多いのである。act36、act40はその期待を裏切らないものだった。つぎにカットが多そうなのが、このact46。さっそく読んでみたが、この回は台本に忠実な高丸監督だけあって大幅なカットは無し。それでも所々、興味深い点があるのでさっそくレポを書こうと思ってたが、いきなり難題にぶちあたった。
実写版セーラームーンにはいまだ解明できないいくつかの問題がある。何度もその解釈に挑戦している「最終回問題」。見方によっては破綻しているとさえ思える最終回をどのように解釈し、どのように鑑賞するのが正しいのか。つぎにLeo16さんも解釈を試みられている「非対称問題」*1。現世の火野レイは前世のセーラーマーズ。それでは現世の月野うさぎは前世のセーラームーン?いや、うさぎの前世はプリンセスセレニティなのだ。ならばセーラームーンとはなんだ?これは実写版に限らず原作の問題でもあるのだが。もう一つ、実写版の最終回付近の難問が「うさぎ問題」である。
act43あたりから、レイ、亜美、まこと、ルナはうさぎに幻の銀水晶を使わせないようにするため、別行動を取る。この結果、美奈子の病気と戦士としての未覚醒のエピソードは、うさぎのいないところで進行していく。それはレイの離脱、まことと美奈子の接近をもたらす。視聴者の目にしかわからない彼女たちによるうさぎの阻害は、act46でうさぎ自身が感じることとなり、傷つきベッドに横たわるルナに向かってうさぎの口から語られることになる。

     「何か最近、みんなとちょっと離れちゃった感じがするんだけど、避けられてる?」

act46は美奈子の覚醒と手術を受ける決意でハッピーエンドになるのだが、うさぎの問題はまったく解決していないのだ。さらにこの問題はact47になっても解決しない。善意に基づくものとはいえ、うさぎには依然として美奈子の病気は伏せられたまま。美奈子を送り出すパーティの段取りは、うさぎを驚かせるため4人で進められ、うさぎはクラウンで美奈子に会うチャンスを失う。4人の中で最大の美奈子のファンであるうさぎは、ついに美奈子の病気を知らないまま今生の別れとなってしまう。つまりact46でうさぎが感じた「みんなに避けられている」思いは解決されないまま最終回まで行くのだ。とするなら、このエピソードは最終回と関係するのか。だが、act46以降ではこの問題は明示的に語られてない。ならば、act46のラストでみんなと合流した時点で終わりなのか。ただでさえややこしい最終回なので、私はこの問題には一度だけ軽く触れたまま*2忘れていた。act46の台本を読むまでは。
(つづく)