冬のビデオまつり「よだかの片想い」「カメラ、はじめてもいいですか?」

今回も異色作を5本。

TITANE/チタン [Blu-ray]

TITANE/チタン [Blu-ray]

  • ヴァンサン・ランドン
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TITANE/チタン
【1,200円】U-NEXTでは配信が始まった。先に紹介文を転載すると「幼い頃、交通事故により頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれたアレクシア。彼女はそれ以来<車>に対し異常な執着心を抱く」。この車への執着心は最初の15分だけで、以降はチタンの成せる技か主人公の行動原理がまったくわからない。なので物語がどう動くのか予想が付かないのがこの作品の特徴。彼女の危うい行動にはらはらはするし、ラストの落とし所も予定どおりだが、彼女はなんのために生きていたんだと。

哭悲/THE SADNESS
【1,200円】台湾のゾンビ映画。ゾンビという表現は正しくないか。謎のウイルスが蔓延し、感染すると殺人衝動が抑えられなくなる。ゾンビと違って身体能力や知性はそのままなので、全力疾走で追いかけてきて武器も使い仲間と共闘もする。過去最強のゾンビだが、人間なので死んだら終わり。ただし血液をはじめ体液で感染するので殺すときに返り血を浴びたらアウト。空気感染をするわけではないので、これらの性質がわかった上で重装備で立ち向かえばなんとかなりそうだが、映画は最初の感染者が出てから2日間くらいの話。殺し方がいちいちエグい。ラストは一人で屋上に出たらそうなっちゃうよなあ。

よだかの片想い
【1,700円】顔に大きい痣がある主人公は大学院の学生。彼女のインタビューが載っている本がある映画監督の目に止まり、映画化することになった。それがきっかけで主人公と監督は恋仲になるが、もっと距離を詰めたい主人公と、心の底では主人公を映画の題材としか見られない監督。二人の溝は広がっていく...大きい事件が起こるわけではないが、主人公の心情を丁寧に描いた佳作。松井玲奈がこれ以上ないほどのキャスティング。

ゴーストブック おばけずかん
【1,000円】ハリーポッター風味の学校の怪談異世界編という感じ。新垣結衣は巻き込まれてしまった教師役で、主役は4人の子どもだが、もっといい子はいなかったのか? 山崎監督なので特撮は素晴らしかった。

   

カメラ、はじめてもいいですか?
【1,700円】30分のドラマで全12話。家庭に居場所がなく一人暮らしをしている主人公。学校にも馴染めず友だちもいない。向かいの部屋に住む写真家のお姉さんと知り合いになり、使ってないカメラを借りて写真を撮り始める。それがきっかけでカメラ狂(写真が好きなのではなくカメラが好きみたい)の2人と友だちになり、彼女らが出入りするカメラ屋の女主人とも知り合いになり主人公の世界が広がっていく...主人公はお姉さんや親など大人の都合を考えなさすぎる。それが子どもなんだろうが、終盤になるとけっこうイライラしてくる。それは脚本家の狙いみたいで、自分のために夢を諦めようとするお姉さんのために主人公は実の母に会いに行く。そこからいろいろな歯車が噛み合って物語が前進する。世界から拒否されていると思っていた主人公、じつは拒否していたのは主人公で、みんなが彼女に手を差し伸べていたのに気づく最終回はなかなか良い。この手のワンイッシューのBSドラマは良作があるんだよね。