新年ビデオまつり「大怪獣のあとしまつ」「ベイビーわるきゅーれ」

昔は年末年始のテレビの特番って、けっこう楽しく見ていたんだがな。いまはクソのような番組ばかりだな。

ヒューマン
【1,700円】45分、全8話のドラマ。人間そっくりのアンドロイドが大量生産され、職場や家庭で働いている世界。ある家でも一体のアンドロイドを買って(写真の右から2番目)、掃除、洗濯、料理に大助かり。父、息子、幼い娘はお気に入り。大学生の娘は近い将来に人間の頭脳労働もロボットに取って代わられる社会が来ると警戒。母は自分の仕事が取れるのを良く思ってないのと、このアンドロイドがたまに見せる人間っぽい反応を不気味感じている...意志や感情を持ったロボットが誕生したら人間や社会はどう反応するかがテーマ。序盤では並行して進む5系統の物語がどんどん結合していく展開は見事。

大怪獣のあとしまつ
【1,200円】Amazonプライムで無料になったので見てみた。かなり酷評されていたのでまったく期待しないで見たら意外と良かった。おそらく三木聡監督のギャグの才能は2009年の「インスタント沼」あたりで燃え尽きたのだと思う。それがわからないで作った2010年代の作品は滑りまくり。やっと本人がその事実を受け入れた上で作ったのが本作だと私は思っている。その点では三木聡Ver2.0の記念すべき第一作になるのではないか? 怪獣映画だと思って観に行った人が「つまらないギャグの悪ふざけ」と酷評していたが、本作はギャグの手数をおさえて確実にシングルヒットを狙いに行ってる。主演の山田涼介はあいかわらず単調な演技だが、最初から最後までいっさい笑いなし、冷酷な濱田岳が素晴らしい。山田くんは近くで彼を見ていただろう。これが演技というものだよ。脇役がみんな上手で助けられた。あと非難囂々のラストだが、その手前で人間の力により解決しているので、あれは最後の大ボケと見れば良いと思う。

新REC/レック デッド・ビギニング
【800円】原題は「The Dark Tapes」で、何作か作られている「REC」とはまったく関係ない。ホラー映画のオムニバスで、それぞれ設定は凝っているのだがそれが生かし切れてないという悲しい作品。

ベイビーわるきゅーれ
【1,900円】すごい作品に出会えた。低予算で知っている俳優がいないのにアイデアと構成が秀逸な映画。「カメラを止めるな!」、「メランコリック」、「サマーフィルムにのって」に続くのはこれだ。卒業目前の高校生二人、彼女たちは殺し屋。卒業後の進路を考えなければならないが(殺し屋の進路!)二人とも部屋でだらだらと過ごしている。要領の良い黒髪に比べて、コミュ障の金髪は完全な社会不適合者。ミッションのためコンビニにバイトとして潜入するはずがコミュ障すぎて面接に受からない。この二人があるきっかけでヤクザと全面対決することになってしまう...二人はよくある調子が良い女子高生ではなく、人間としてダメすぎるので逆に好感が持てて感情移入できる。クライマックスのヤクザのボスキャラと金髪の勝負はびっくりした。伊澤彩織という俳優らしいが、こんなアクションができる人が日本にいたんだと驚いた。ここだけでも見る価値あり。

ザ・クラフト
【1,200円】1996年の映画。はみ出しっ子の女子高生4人が黒魔術をマスターし、自分をいじめた子への復讐、自分のコンプレックスの解決をする。だがどんどんエスカレートし暴走することになる...26年前の映画なので、いまとなっては予定調和な展開。4人のうちの黒人の娘がすごく可愛い。

ハチとパルマの物語(吹替版)

ハチとパルマの物語(吹替版)

  • レオニド・バーソフ
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ハチとパルマの物語
【800円】日本とロシア合作のロシア版忠犬ハチ公で実話らしい。主人公の犬「パルマ」は飼い主といっしょにプラハに行くはずだったが書類上の手違いで空港に取り残され、空港で飼い主の帰りを待ち続ける...映画では母親を亡くし、離婚していた父親に引き取られた少年がパルマに自分と同じ境遇であることを見いだし世話をする。どこまでが実話でどこからがフィクションかわからないが、この少年がわがまますぎる。同情はするが、わがまますぎるので感情移入ができない。

アンノウン・ボディーズ(吹替版)

アンノウン・ボディーズ(吹替版)

  • ヴェルナー・デ・スメット
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アンノウン・ボディーズ
【1,500円】ベルギー製のミステリー映画。6体の首無し死体が見つかる。操作するのは次期署長の沈着冷静な刑事とはみ出し者の刑事。よくわるパターンだが、このはみ出し者が勝手すぎる。運もあるので結果オーライなのだが、見ていてイライラした。ハリウッド映画にはない独特の雰囲気なのは良かったが、冒頭でいちばん怪しかった人が真犯人なのはダメだろう。もうちょっとミスディレクションを入れられなかったのか?

ロジャー・コーマン デス・レース 2050
【300円】この映画はどのように楽しめばいいのだろう。てっきり20年くらい前の映画かと思ったら2017年だって。ますますダメ。

ヴィクトリア(字幕版)

ヴィクトリア(字幕版)

  • ライア・コスタ
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ヴィクトリア
【500円】140分をワンカットで作られた映画らしい。ベルリンで暮らしているスペイン人の女性が夜の街で知り合った若者4人と意気投合する。飲んで騒いで別れたあと、戻ってきた彼らが協力して欲しいという。それは強盗だった...ワンカットとはつまり、主人公と観客が同じ時間を過ごすことである。たった2時間でいろいろな事が起こり主人公の運命が大きく変わる意外さがこの映画の売りだと思う。だがワンカットなのでいかにも冗長。とくに最初の1時間がすごく退屈。後半もイベントとイベントの間がだらだら時間が過ぎる。実際の時間とはそういうものだが、それを映画で体験したいか、編集して欲しいかだと思う。