真夏のビデオまつり「マグノリア」「葛城事件」

きょうから3日間は暑いようだ。もう身体がついて行かねえ。U-NEXTで今月で終了の表示が出ていた作品を中心に。月末になると表示が消えるのだけどね。

プレミアム・ラッシュ
【1,500円】大都会を自動車に混じって、いや自動車を追い抜いて疾走するバイクメッセンジャーの物語。タイトルは超特急便という意味らしい。知らずにヤバい物の配送を頼まれた主人公が敵に追われる。その敵というのがギャンブル中毒の悪徳警官。よくこんな撮影ができたなあと迫力と爽快感はある。残念なのが主人公はなぜこの仕事をしているのかとかのバックボーンがほとんど描かれてないのでイマイチ感情移入ができない。

マーキュリー・ライジン
【1,700円】数千億円かけてNSAが開発した暗号。担当者がシャレでパズル雑誌に掲載したら(それを解くとここに電話しろという意味になる)9才の少年が解読してしまった。国家の安全のためにその少年を抹殺しようとする組織、ある偶然からその少年を守りいっしょに逃避行をする主人公...1998年の作品なのでブルース・ウィリスがちゃんと主役をしている。前回に紹介したアンジェリーナ・ジョリーの映画と同様、本作の主人公も過去に死なせてしまった少年への贖罪になっているのが泣ける。この少年は数学の天才だが自閉症で言うことを聞かない、行動が予想できない、これがたびたびのピンチを招くのがミソ。

さようなら

さようなら

  • ブライアリー・ロング
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さようなら
【1,200円】この映画、気力が充実しているときに見ないと鬱になるよ。数年前に新宿武蔵野館で予告編を見て知っていた。原子力発電所の事故で人が住めなくなってしまった日本。政府が移住先を決めて連絡が来ると海外に脱出する。主人公の女性(右)は難民として日本に来たが完治が見込めない病気にかかっており、看病と身の回りの世話のために与えられたアンドロイド(左)と両親の死後も二人で暮らしている。とここまでが設定。で、実際のストーリーだがそれがほとんど無いんだな。もともとアンドロイドと二人で静かに暮らしているところに、唯一の親友の自殺、恋人は海外に移住、町の人もどんどん移住し、さらに寂しくなっていく。主人公は長く生きられないのを知っているので移住するつもりがないようだ。主人公を演じた人はアメリカ人だが日本語・フランス語・ドイツ語もできてなんと吉本興業に所属している。

SHADOW MAN~シャドーマン~
【800円】伝説のなんとかマンが本当に出てくるという、ホラー映画によくある話。アメリカのホラー映画を見ていつも思うこと。人里離れた一軒家に引っ越すな。家の中が暗くなるから間接照明はやめろ。子どもに異変が起きたら子ども部屋にひとりで寝かすな。行ってはいけない場所に子どもは行くな。

サマリタン
【1,500円】Amazonオリジナル。その昔、超人の双子がいて片方は正義のヒーロー「サマリタン」、片方は悪の怪人「ネメシス」になり、二人が最終決戦をしたとき両方とも死んだと伝えられている。主人公の少年は向かいのアパートに住んでいる老人がサマリタンではないかと疑っている。そのころ軍の倉庫に忍び込んだギャングのボスはネメシスのマスクをみつける。自分がネメシスの再来として暴徒を扇動し町はカオスになる。「あんたはサマリタンなんだろ、ネメシスをやっつけてよ」「俺はサマリタンではない」と言い合う二人。だが少年が誘拐され老人は立ち上がる...これのオチは途中でわかったよ。逆にそうであるからギャングに容赦をしない。なるほど。

ディープ・ブルー (字幕版)

ディープ・ブルー (字幕版)

  • サフロン・バローズ
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ディープ・ブルー
【1,900円】これは有名な映画なんだよね。アメリカ人は本当にサメの映画が好きだなあといままで見てなかったんだけど、これはジョーズ+ポセイドンアドベンチャー。機能を失った海底基地からどうやって脱出するか。しかも通路が浸水しサメが出てくる。見せ場があとからあとから出てきてお腹いっぱい。有名な映画だし、それを知っていても映画の楽しみを奪わないから書いちゃうけど、女性が全員死ぬのっていまのハリウッドなら絶対にやらないよね。コメディリリーフかと思ったコックがすごく有能。

マグノリア [DVD]

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マグノリア
【1,900円】これはAmazonには無いんだよね。6つの物語が交互に描かれる群像劇。前回に紹介した「クラウド・アトラス」と違って同じ町の同じ24時間の物語。それぞれの物語は大スペクタクルというわけではなく、ありそうな出来事なのだが脚本・演出・俳優が秀逸。つぎの物語に飛ぶときのタイミングや、それを同じ音楽でつないで、まったく別の物語なのに同じ緊迫感でスライドさせるテクニックがなかなか。そのうちの一つの主役がトム・クルーズなんだが、この人の俳優としての力量をこの作品で見た。特殊なメイクをしているわけでもないのに30分くらい彼だとわからなかったよ。セリフや動作で役になりきるのは俳優としてあたりまえだが(いつもキムタクの人もいる)、セリフも動きもない素の表情がトップガンやMIPとはまったく違う。トム・クルーズに似ているイヤな奴にしか見えない。西島秀俊阿部寛もこれはできないだろう。

葛城事件
【1,900円】怪作中の怪作。舞台版があったらしいが、よくぞこんな映画を作った。俳優さんもよくぞこんな役を演じきった。登場人物の全員が狂っている。とくに主演の三浦友和のクズっぷりが素晴らしい。奥さんや息子はよく止めなかったな。私は2つの時制が交互に描かれているのがわからなくて息子は3人いるのだと思ってずっと見ていた。田中麗奈がいる時間といない時間は別だったんだな。すごく損をしたのでもう一度見るよ。ただこの映画も気力体力を整えてから見るべし。2時間ずっとクズと狂気を見る覚悟をせよ。