秋のビデオまつり「はい、泳げません」「21ブリッジ」

異色作3本と最近公開された2本。

モンスターズ 悪魔の復讐
【1,200円】邦題がひどすぎる。19世紀末にアメリカで起こった有名な未解決事件(らしい)の映画化。富豪の夫妻が惨殺され娘が逮捕・起訴される。センセーショナルな事件として裁判の行方が注目されたが証拠不十分で無罪。事件は迷宮入りになった。この映画は娘とその恋人である召使い(女性)の共謀として描かれているが、親父がとんでもないクズで娘に共感できる内容になっている。そこには絶対的な家長、簡単には女性が自立できない社会、弱い立場の召使いなどこの時代背景がある。

テイクオーバーゾーン
【300円】同名のコミックがあるがそれとは別物。これほど最後まで主人公を好きになれない映画って初めて見たよ。映画.comのレビューを見たらほとんどの人が4か5を付けて「感動した」とか「泣いた」とか。まじかー、オレってどこかおかしいのか*1

はい、泳げません
【1,900円】Amazonプライムにはまだ入ってなくてU-NEXTで視聴。この映画を見て「日本映画もまだまだ捨てたもんじゃない」と思った。構成、脚本、演出、配役、演技、カメラ、すべて○。コーチ役は綾瀬はるか以外でもできる女優はいるが、主人公の長谷川博己はベストマッチ。田中圭にしないでくれてありがとう。大学で哲学を教える主人公が繰り出す理屈を、コーチは簡単にはね除け、逆に人生を説いて主人公を納得させてしまう。やはり身体感覚が伴った思想は強いのだと思う。また主人公とコーチはあくまでも師弟関係で、恋愛感情を持たないのも良い。ただの水泳教室の生徒である主人公に対して、それも人一倍ややこしい年上の生徒にコーチは全力で向き合い彼の人生を救うのがすごく尊い。私は「ドライブ・マイ・カー」よりこっちのが完成度は高いと思ったな。かといってアカデミー賞を獲るには小品だけどな。

21ブリッジ
【1,900円】主役は「ブラック・パンサー」の人。この人は本当にかっこいい。アクションだけでなく、ただ立っている姿も。この映画は闘病生活中に撮影された物のはず。物語はどうってことない。銃撃戦の末に警官を8人殺した二人組を捕まえる話で、舞台も封鎖したマンハッタンと狭い。映画館で予告編を見ていたが、この映画の面白さは伝わらないよな。見せ場が後から後から来て(一つ一つは小さい)ずっと緊張感を持ったまま2時間を駆け抜ける。「美味しんぼ」で初めて「岡星」が出る回で、ご飯と味噌汁と干物だけなんだけどすごくおいしいのがあったでしょ。そんな映画。

トリコ・トリ: ハッピー・ハロウィン
【1,200円】ブラジル産のコメディ映画。ある一家が引っ越す家は近所で噂の幽霊屋敷。ここにいる幽霊は少年の兄とムチムチの妹。一家の長男である主人公が下見に来たとき、彼の前に幽霊は姿を現わし、妹は主人公に一目惚れ。この幽霊がかってないほど「普通」のビジュアルなんだよ。

   
この映画を途中から見たらこの二人が幽霊だとわからないほど。いくらムチムチでも幽霊だからね。題名の「トリコ・トリ」はブラジル語で「Tric or Treat」の意味だそうだ。

*1:間違いなくそうだろう