真夏の映画まつり「NOPE」「異動辞令は音楽隊!」

   

ゲット・アウト」、「アス」の監督。けっこう前から予告編は見ていたが、これはどういうカテゴリの映画で、主人公たちの脅威になる相手は何なのかが伏せられている。なので私がここに書いてよいわけないよね。でもそうするとレポが書けないんだが。予告編に出ている情報の範囲で書くと、最初はアメリカ映画によくあるアブダクション物だと思ったわけよ。実際にそれに近いのだが、ジョーダン・ピール監督の映画なので一捻りも二捻りもしてあって従来になかった敵になっている。圧倒的な力を持ったこの敵に対して主人公側は彼と妹と電気屋の兄ちゃんだけ。武器はまったくない。あっても役に立たないのだが。いったい何が起こっているのかわからない不気味な前半が、一転して後半はこの3人のサバイバル。ラストは有能すぎる妹が反撃に出る。イオンシネマIMAXで見た。IMAXで見る映画なのかと思ったが後半の活劇、そして数学的に美しい敵の姿で大満足の一本。

   

このポスターに出ている情報がすべての映画。それはわかっていたのだが、実際にそのとおりだった。だけど主役は阿部寛なんだよ。主役が阿部寛大泉洋だと、どんなジョボい内容の映画でも佳作以上になるのだよ。その点でこの二人は日本映画界の大スターだと思う。アカデミー賞を獲った西島秀俊でも、ましてや田中圭ではここまでの華はない。共演の清野菜名高杉真宙も見事なテンプレなんだが、「そうそう、清野菜名は最初はキツいけど本当は優しい人なんだよ」、「高杉真宙はいまは反抗的だけどいまだけだ」という安心感さえある。良い意味でも悪い意味でも期待を裏切らない映画なので、なにかを観に行って時間がまだあったらどうぞ。