真夏のビデオまつり「任侠学園」「イベント・ホライゾン」

これ、6月の陽気ではないだろ。真夏だよ、真夏。

パラノーマル・アクティビティ 7
【1,200円】「7」ってどういうこと? たしか「5」まではあったよね。「6」はどこ行ったの? 日本未公開ってわけではなくて実際に無いみたいだ。本作はまったく新しいシリーズ。従来は新しい家に引っ越して、変なことが起こるのでカメラを設置するのがパターンだが、本作はいわば「異文化接触物」。このカテゴリでは「ミッドサマー」という大作があるよね。あれ、よくスウェーデン外交問題にならなかったと思う。死んだ母親の生まれ故郷の村を友人と4人で訪ねる主人公。けっこう可愛い。古い風習が残っているだけだと思っていたが、ここはヤベえ村だと気づいたときはもう遅かったという話。ね、よくこのストーリーで「パラノーマル・アクティビティ」にしたよね。

任俠学園
【1,900円】原作もあるしコミックも出ているんだね。カタギには手を出さない、世間のルールは守る、昔気質のヤクザの組が経営不振の高等学校の立て直しをする。けっこうありがちというか予定調和の話なんだが俳優がみんな名演技。滑りがちなギャグもギリOKにしてしまうのはさすがだ。ただ女子高生役の葵わかな桜井日奈子が残念。西島秀俊はそろそろ仕事を選んでもいいと思うのだが、長い下積み時代があるのでどんな仕事も断わらないと明言しているしなあ。

イベント・ホライゾン
【1,700円】いまから四半世紀前、1997年の映画だが古さはまったくない。興行的には大失敗の映画だったらしいがビデオソフトを見た人から傑作の呼び名が高く再評価された作品。超光速で空間を移動する初の深宇宙探査船が消息を絶ってしまう。7年後に海王星付近で救難信号が発せられ、主人公たちクルーが調査に行く。「ワープ航法」って用語が出てこなかったが原理は同じで空間を歪ませて移動距離を短くし結果的に光速を超える。この映画を見て素晴らしい想像力だと思ったのがつぎの点。

   

実際は3次元空間を歪ませるのだが図で表現できないので次元を一つ下げて説明する。紙の左上の赤丸から右上の赤丸に移動するのに、紙を折り曲げると2つの赤丸が接近するわけだ。それはSFの世界で以前から知っていたのだが、問題は二つの赤丸が完全にくっついていない、わずかに隙間があるとき。上の図の青い矢印はいったいどこを通ったんだという話。我々が存在している3次元世界は上図の紙の上なので、矢印はまったく別次元の世界。そこには何があったんだという疑問がこの映画のテーマ。

前田建設ファンタジー営業部
【1,900円】映画館でも観たが、U-NEXTでは6月いっぱい無料と書いてあったので見てみた。いいわあ、これ。高校生に見せれば理系を志望する生徒が増えると思うよ。物を作るということの素晴らしさ、それに情熱を傾ける人の崇高さ。中盤でマジンガーZを10秒以内に地上まで持ち上げるメカが前田建設ではどうしても作れなくて、他社に依頼する。実際に作るわけでもないし一銭にもならない仕事に名乗りをあげる会社が3社もあるんだけど、そのうち1社は私が最初に勤めていた会社の同業者、2社は2番目に勤めていた会社のお客さん。技術者なら参加しちゃうよね。あと前田建設の掘削(穴掘り)の技術者を演じている町田啓太、映画館ではどこかで見た人だけど誰だっけとエンドロールまでわからなかった。表情がいつもと全然ちがっていて、上手な役者だね。