梅雨のビデオまつり「セブン・シスターズ」「僕と世界の方程式」

これは100円セールだった作品。

セブン・シスターズ
【1,900円】 映画館で予告編を見たような気がするし、この映画の存在は知ってた。ミステリー調の話かと思ってたら活劇だった。それも極上の。もっと早く見れば良かった。近未来、増加の一途をたどる人口によって起こる食糧問題。これを解決するために遺伝子組み換え食品が一般的になる。だがその副作用で女性が多産化し4つ子や5つ子がどんどん生まれさらに深刻な事態に。そのため親が手元で育てられる子どもは一人だけ。残りは冷凍睡眠が施され人口問題が解決した未来で目覚めさせられる。それに抵抗する家に生まれた7つ子。月曜日から日曜日まで交代で外に出て夜に体験を共有する。そうやって30才になった姉妹。わからないよう順番に出社し働いている。ある日、月曜日が夜になっても戻らない。翌日、探しに行った火曜日も戻らない。なぜか姉妹の秘密が当局にバレて暗殺部隊が送り込まれる...前提を説明するのにここまで字数を使ってしまった。姉妹が知恵を出し合って危機を乗り切るが、つぎつぎに来る武装集団。この圧倒的な戦力の差がイイ。一人また一人、倒されていく絶望的な展開、だがフランス映画ではないので生き残りが逆転するよ。終盤、あるきっかけで姉妹に協力してくれる兄さん(アラジンで悪役をやった人)が窮地になるほど有能で気持ちいい。

バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ
【1,000円】ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のシリーズがゲームとはまったく違うので、本作はゲームに寄せた新作、ホラー色が強い。だが最初のヤバイ奴が出るまではなかなか良い雰囲気だが、その後が盛り上がりに欠けるまま最後まで行ってしまった。終盤までジル組とクレア組に分かれているのも集中して見られない点かな。

佐々木、イン、マイマイ
【800円】けっこう評価の高い映画だが私は好きになれなかったなあ。登場人物の全員が面倒くさい。あとセリフが聞き取りづらい。ボソボソしゃべるのと、まるでボソボソしゃべっているようにハッキリしゃべるのが違うからなあ。ヒロインはいないが、表参道高校の萩原みのりはあいかわらずの存在感。あと役によってまったく印象が違う河合 優実は大器の予感。

僕と世界の方程式
【1,900円】自閉症スペクトラムの主人公、幼いときに父親は交通事故で死亡、母親と二人暮らし。母親(シェイプ・オブ・ウォーターの人)との間にさえ、愛とか感謝とかの感情は持ち合わせない。その彼は数学に異常な興味と情熱を持つ。9才のとき、母親と教師(もう教えられることが無い)が相談し大学レベルの個人授業をする先生を付ける。高校生になった主人公、あいかわらず他人とのコミュニケーションはできないが数学の天才。全世界の高校生チームが競う数学オリンピックアメリカ代表チームに選ばれる。世界最強の中国チームとの合同合宿が台湾で行なわれ、初めて家を離れ海を渡る...アメリカチームの女の子にピアノを教えてもらい彼は音楽を数学で理解する。それがきっかけで台湾の町の喧噪を数学で理解する。さらに中国チームの女の子が彼に好意を寄せるが彼に愛や恋は理解できないが心のさざ波は感じているみたい。あることがきっかけで試験の本番で彼が試験を放り出すことになり、映画の感想を見ると「あの展開はないだろう」と文句を言ってる人も多いが、数学より大切なものを見つけた彼を母親は笑顔と涙で迎えるラストはイイ。本作は実話で、現実の主人公は試験を最後まで受けて銀メダルを獲っているそうだ。

コリーニ事件(字幕版)

コリーニ事件(字幕版)

  • エリアス・ムバレク
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コリーニ事件
【1,900円】原作も読んだし、映画館でも観たが、会員無料になったのであらためて見てみた。まったく話題にならなかった映画だが名作だと思う。原作に忠実なストーリーも良いし、ミステリーでは退屈になりがちな謎解き部分の見せ方もうまい。再度視聴して思ったのが登場人物がみんな寡黙であること。これはそういうキャラというのもあるが、話の流れと役者の表情によって観客が想像できることは、わざわざ役者にしゃべらせない。それが観客の映画に対する没入感を生み、映画に深みを与えているように思う。それを可能にするだけ上手な役者を集めて巧みな演出をしているわけだが。この映画と対照的なのがアカデミー賞を獲った「ドライブ・マイ・カー」。あの作品は登場人物が自分の心情をじつに良くしゃべる。とくにラスト・カットで作品のテーマが劇中劇で語られるが、それを前のシーンで主人公が話しているのでインパクトが薄れているのだよね。たぶんはじめから海外で上映することを念頭に置いて作られたので、ここまで説明しないと理解されないだろうと思ったのかもしれない。でもあの内容なら心配しすぎたんじゃないかな。