数年後って何年後?

台湾・中国の合作映画「星空」。

   

日本では2017年に公開され私は新宿のケーズシネマで観た。

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同じ日にアン・ハサウェイ主演の「シンクロナイズド・モンスター」を観たんだよな。アン・ハサウェイって日本なら黒木瞳のようなステータスの人かと思っていたのだが、この映画を観て石原さとみくらいだとわかった。「星空」の方は当時の感想を読むと台湾の都会や地方の風景が日本にそっくり、純朴な女の子と男の子が良い、全体としては良いが細部は雑、と書いてある。Amazonだと有料だがU-NEXTだと無料なので、ずっと気になっていたエピローグをもう一度見てみた。簡単に説明すると主人公の女の子は中流の家庭だが、両親が離婚し、母親はフランスに行くことが決まっている。主人公は父と母のどちらかを選ばなければならない。それは台湾とフランスを選ぶことでもある(ラストで、父+台湾を選んだ)。少年は貧しい家庭で、絵が好きだがお金が無く文房具店で絵の具を万引きしているところを主人公が目撃して仲良くなる。だが父親の暴力から逃れるため、母親と息子で逃亡することが決まっている。主人公と少年は最後の思い出にゴッホの絵に出てくるような星空が見える場所に行こうとこっそり家を出る。星空を見ることはできたが、雨にあたって主人公が高熱を発して親に助けを求める。こっぴどく叱られて、少年は母親と夜逃げをし二度と二人が会うことはなかった。

   
ここまでが本編。問題がこのつぎ。

   
   「パリ 数年後」

   

この女性は主人公かなとも思ったのだが、字幕は「数年後」。この女性は20代後半なのでちょっと若すぎるけど主人公の母親かなと思って観ていたんだ。それなのに主人公が出てこないし、この後の展開でやっぱり主人公だったんだ。ビデオを見直したら上のカットのすぐ後に

   
名前を呼ばれて振り向くシーンがある。ここでこの女性は主人公だとわかるようになっていたんだ。これを見落としたというか、名前を覚えてなかったというか。なにより問題は「数年後」って字幕だろう。原文では「多年後」になっている。中国語のニュアンスはわからないが、数年後は長くて7、8年。短いと2、3年でしょう。でも映画では10年は経っている。仮にすごく大人っぽく見える人だとしても、映画のラストシーンで明らかになる事実は少なくとも本編から10年くらいは経ってないと辻褄が合わない。多年後は英語だと「after many years」、日本語でも「多年後」はあるにはあるらしいけどあまり使わないので、ここは「月日は流れ、ここはパリ」とかにして欲しかった。私の誤った先入観を修正してエピローグを見ると、すごくいいんだよね。後半から主人公のセリフはまったくなく、あるアイテムが伏線になっていて、観客が「ああ、そうか」と想像できたところですぱっと終わる。映画はまったく悪くないのに字幕がダメだったという例である。