先日に紹介した映画「大阪蛇道」で面白いシーンがあったのでぜひ紹介したい。坂口拓演じる主人公は怖ろしく強いが子どものころに家が火事になり、顔の左半分に火傷の跡があり声を出せない。声が出ないだけで耳は聞こえるし人並み以上の知性がある。アニキの弟分はずっとアニキと一緒にいるのでアニキの思考パターンに熟知し、それと顔の表情でアニキが言いたいことがわかる。アニキと弟分がいつも行くレストランで昼食。
ウエイトレス「ご注文はお決まりですか?」
弟分「アニキ、何にします?」
兄貴「・・・・・」
弟分「カツカレーは昨日食ったし、ピラフも飽きたし」
兄貴「・・・・・」
弟分「サンドイッチかなー」
弟分「カツサンドふたつください」(アニキも弟分もカタギには迷惑をかけないし丁寧に接する)
ウエイトレス「カツサンドですね。お飲み物はどうされますか?」
弟分「アニキ、飲み物どうします?」
兄貴「・・・・・」
弟分「んーーーーーーー、んーーーーーーー、え? あれ? 全然わからへん」
ウエイトレス「ミックスジュースにしますか?」
兄貴「!」
ミックスジュースって、極道は絶対に飲まなそうな物をウエイトレスが言ったら当たっちゃった。
弟分「え? ウエイトレスさん、なんでわかったの?」
ウエイトレス「え、いや、パッとひらめいたから」
弟分「いやいやいや、お姉さんそれすごいで!
オレ、この人について8年かかってやっとここまで来たのに、お姉さんに抜かれてしもうたわ」
兄貴「・・・・・」
内ポケットから細く折った1万円札を取り出すアニキ。アニキはお礼やご褒美のために1万円札を細く折ってポケットにたくさん入れているようだ。
弟分「これ、アニキからビンゴ大賞や」
ウエイトレス「いや、こんなのいただけないです!」
弟分「店長に黙っといたらわからへんがな」
ウエイトレス「いやいや、いただけないんで」
(ウエイトレスの手にむりやり1万円札を握らせる)
これ、ウエイトレスも迷惑だろう。アニキは人を殺すときは躊躇がないがお金は惜しまないのだ。ラストの方で、子どものときに世話になった友人にばったり合って、ポケットから100万円の束を2つ渡している。キャッシュレス時代の逆を行ってるアニキ、かっこいいぞ!