9月に読んだ本

ぜんぶ厚い本だったので4冊しか読めなかったよ。

犯人に告ぐ(3) 紅の影

シリーズ三作目になるが、今回は原点に返って主人公の刑事がテレビ番組に出演し、捜査の経過を話し視聴者からの情報を求める。ただそれが地上波ではなくてネットTVなのが今風。二作目の親玉がターゲットで、彼の物語の方がページ数が多い。このシリーズの特徴が犯人側のが賢い。ひたすら犯人に翻弄される主人公たち警察。ほぼ最終章といっても良いあたりで、わずかに出てきた手がかりから主人公サイドの逆襲が始まる。今回はテレビなのでおなじみの「犯人に告ぐ」、「今夜は震えて眠れ」の名セリフが出てくるよ。

 

デッド・リミット (集英社文庫)

子どもが誘拐されて母親に指が送られてくる。だが...母親にまったく同情できない。この母親をはじめ出てくる人出てくる人、刑事も含めてみんなゲスなのが特徴。読み進めるうちに明らかになってくる関係者の事情と事件の全貌。と、ラスト近くまでは良いのだが、最後のオチにそこまでの展開を受け止めるだけの強さがないので拍子抜けで終わるのが残念。

 

呪護

久しぶりに読んでしまったダメ小説。短編小説程度のプロットが無駄に長い。そのわりに人物造形が希薄で誰にも感情移入できない。

 

震える教室

バレエと音楽で有名な女子校の普通科に入った内気な主人公。やっとできた友だちと手や肩が触れると、なぜか二人とも見えるはずがないものが見える。まあ、幽霊的なものだ。それはいったい何なのかを探す課程がミステリーになっている。ミステリーとしてはそれほどの話では無いが、なにより内省的な主人公の学校生活や将来への不安、少しずつ広がっていく交友関係への喜び、正反対の性格の親友への思い、その心の描写がすごいいい。これはNHKがドラマ化して欲しいなあ