4月に読んだ本

副題の「ホラーで人間を読む」に引かれて読んだけど途中からホラー映画はぜんぜん関係なくなっちゃったぜい。「人は命の危険が無いとわかっているのに、なぜホラー映画を見ると怖いのか」と、アホのような疑問だがちゃんと考えると意外に難しい。


外国語を身につけるための日本語レッスン

外国語を身につけるための日本語レッスン

これは日本語の本。簡単な挨拶なら良いがヨーロッパの人と会話をして行き詰まるのがこういう会話。日本なら「昨日、映画を観てきたよ」「どうだった?」「良かったよ」で会話が成立するが、欧米人だとまず「どうだった?」という質問が成立しない。何について聞いているのか、映像か、俳優か、ストーリーかを明らかにしなければならない。「良かったよ」も何がどう良かったのかを言わなければならない。小学生から英語をやる前に、他人に自分の意思や考えを正確に伝えるために、まずは欧米人のように日本語を話す練習をしましょうというお話。


やわらかロジカルな話し方

やわらかロジカルな話し方

上の本とセットで読むと良いかも。論理的に話しているのに相手に堅い印象を与えないコツ。逆に言えば、柔らかく話しているのに世間話で終わらずに相手から必要な回答を引き出すコツ。


判決の誤差 (双葉文庫)

判決の誤差 (双葉文庫)

この作者、ふだんはどういう人なのか会って話してみたい。もう1ページ目からぶっ飛びすぎ。クセのある人ばかりが裁判員に選ばれてしまった法廷の物語。しまいに怒られるぞ。


佐藤優氏が灘校生に講義をする。ときどき佐藤氏が生徒に質問をしたり、生徒からの質問を受けるが、灘校生ってすげえな。こんなに賢い奴、私の高校にいなかったな。少し前の本だが、この佐藤氏でさえアメリカの大統領選はクリントンの勝利をこの時点で疑っていなかった。


法廷の傍聴記録。その事件に対する評論は述べないで、淡々と事実だけを物語風に書いてある。被告に同情してしまうような事件ばかりだが、どれも共通しているのが被告の相談に乗ってくれる人、助けてくれる人がいなかったこと。会社、地域、親戚、友人、誰でも良いが社会との接点が無くなってしまうと人間はつらい。


怪談部屋 怪奇篇―山田風太郎ミステリー傑作選〈8〉 (光文社文庫)

怪談部屋 怪奇篇―山田風太郎ミステリー傑作選〈8〉 (光文社文庫)

山田風太郎の短編集。ミステリー要素にしてもホラー要素にしても当然、いまの小説に比べると古さを感じる。だが、それを補って余りある文の格調の高さ、日本語のリズムの良さ。こういうのは文語文とか漢文の素養なのだろうか。


山岳ホラーの新作。作者の短編はホラーとしての怖さというかサプライズはそれほど大きくないが、そこに行くまでの山の描写が素晴らしい。だが、微妙に作風が変わっている。従来はオチの振れ幅が小さい分、「そんなこともあるかもなあ」と思えたのだが、本書は明らかに創作という作品が多い。いくらなんでもそんなことはねえだろうと。ちょっと残念。